【無料RPG】コンビニでのとんでもない客に対処しろ! そしてコミュ力を上げてアノ娘と仲良くなろう! 「クレーム対応RPG」

2.0
ジャンル:ネタ(バカ)ゲー

このゲームに一言キャッチフレーズをつけるとしたら?

コンビニのクレーマー相手にバトルを繰り広げるパズル系RPG
クレーム対応RPG:無料ゲーム配信中! [ふりーむ!]
「クレーム対応RPG」:コンビニのレジ接客の過酷さを体験できる短編RPG

概要

「クレーム対応RPG」は、日本製のRPGです。基本的にはタイトルの通りですが、より具体的にいうと「コンビニでレジの接客対応などをするRPG」です。

社会をナメ切った高校生が主人公。なぜか黒人風。

このゲームは冒頭で語られるように、ほとんどが「茶番」の作品です。コメディテイストやネタゲーと受けとって構わないでしょう。いわば接客をRPGに落とし込んだような内容になっていて、体力がSAN値、接客Pがスキル用のMPのようなものとなっています。

戦闘はちゃんとRPGっぽい。クレーマーに対応しよう!

これはRPG?

戦闘がRPGのように進められますが、実質的には少しRPGと異なるという点を明言しておきます。通常のRPGでは強いボスと戦うためにレベル上げを行いますが、基本的にこのゲームは「レベル上げが行えない」作品となっています。

店員がいるレジの前でボールペンを折り出す客。

なぜならほとんどの戦闘が「イベント戦」であり、レベル上げが行えるような「ザコ戦」がないからです。そのため「時間をかけてレベル上げ」をする代わりに「イベント戦を楽にする」という戦法が成立しないゲームです。

レジにヤバい客が来ることで戦闘が発生する「待ち」系でイベント戦が始まる。

敵を倒すと経験値とお金が貰えるので、レベルアップによる強化や回復アイテムの購入は行えます。しかしザコ戦がないため、レベル上げができないどころか「回復アイテムを事前にたくさん用意する」という戦法も成立しません。

そのため実際には、RPGの皮をかぶった「パズルゲーム」のように感じられるかもしれません。なぜなら「事前準備」ができず、常に「手持ちの条件(所持金額やステータス)で、なんとか戦う」という「決められた土俵で勝負する」しかないからです。

そのためRPGに「ザコ戦でレベル上げして強化してからボスに挑む」というのがいつもの戦法だという方は、少し面食らってしまうかもしれません。

黒人(に見える主人公)は筋が悪い

また主人公は「タケシ」という名前ですが、グラフィックはおそらく黒人です(ゲーム内の会話でも肌の色を揶揄したものがある)。これはやや筋が悪い設定と見ていいでしょう。なぜなら「日本人による黒人差別」と受けとられかねないからです。

主人公が黒人調であるのは、必要な設定だった?

実際にはこのゲームの作者が日本人であるかわかりません。また日本人といっても、「日本で生まれ育った人」や「日本国籍の人」、「日本人の血を継いでいる人」、他にも「自分のアイデンティティを『日本人』だと定義する人」などがあり、どの定義で議論するかで内容も変わってしまいます。

たとえばここでは、「日本で生まれ育ち日本の文化圏で育った人」であり、国籍や親などの血を考慮せず、具体的には「他の日本人とまったく違和感なく流暢に会話ができる」くらいの人を日本人だと認めるとすれば、たしかに日本人は黒人の方々に接する機会が少なく、ときには笑い物にして差別意識を露呈させることがあるかもしれません。

これを執筆している6/15段階では、黒人の「ジョージ・フロイド(George Floyd)」氏が警官の拘束により亡くなった問題が世界中で大きくとりあげられている時期です。

このゲームがふりーむに登録されたのは、5/2のことなのでジョージ・フロイド氏の件は関係ないでしょう(氏が亡くなったのは5/25)。

しかし少なくとも作者の方が「日本のコンビニを舞台にしたゲームで、黒人を主人公にすればおもしろいだろう」と考えたであろうことはわかります。

そしてそうした差別というものは、実際に対象である人がその情報を見聞きしたときに「差別だ」と感じれば差別になります。その側面を考えると、むしろ「対象である人たちにその情報が届かなければ、差別としての被害は生じない」ともいえます。

「老害」という名称も典型的な”ラベリング”。

実際のところ私は黒人ではありませんので、これが差別にあたるかどうかはわかりません。またわざと黒人の人たちにこのゲームの情報を教えて、「これは差別にあたりますか?」などと聞いてみようとも思いません。そのため本当に差別であるかどうか、私にはわかりません。

またより細かく考えてみると、作者がどういう人物であるかは実のところわかりません。ひょっとすると、日本の文化にとても強く親しんだ黒人の方かもしれません。日本で生まれ育ち日本から出たことがなく英語も苦手な黒人の方もいるでしょう。生まれも育ちもアメリカで日本の地に足を踏み入れたこともないけど独学で日本語を学んで日本人と区別がつかないほど流暢に日本語を使いこなす黒人の方もいるかもしれません。

私はこの点を、「差別だ!」と大声で叫びたいのではありません。「少し配慮に欠ける内容ではないか?」と静かに疑問をなげかけたいのです。それが単なる杞憂であるならば、それはそれで構いません。

ただ日本のサイトであるふりーむにて投稿された日本語のゲームであれば、「日本人が作った」といわれてもしかたがないでしょう。それもハチャメチャなネタゲーであるからこそ、揶揄している様が見えてより差別の色合いが濃く感じられることもあるでしょう。

もしこのゲームが「日本人が黒人差別をしている」という視点で悪意をもって広められたら、これがお金を得るための目的ですらないフリーゲームであるという点すら吹き飛ぶでしょう。日本人の思うコメディでも、筋が悪いと世界から顰蹙を買うかもしれません。

コンビニ接客ゲームとして

またコンビニの接客ゲームとしても、やや不愉快な点が見受けられます。それはネタゲーとして演出するために、登場する客がおおむね「酷い客」ばかりだからです。

私は実際にコンビニのバイトをしたことがあります。このサイトを見てくれている方や、このゲームをプレイした方のなかにもコンビニのバイトを経験したことがある人はいるでしょう。なにせコンビニですから、日本の至るところでコンビニのバイトができます。

トラウマというほどではないけど、コンビニバイト経験者ならつらさを思い出す……。

実際にコンビニでのバイトをし、酷いお客さんと接客した経験がある身としては、ネタゲーとして笑いに変換するより前に、「わざと酷い客を登場させる」という点に、いくらかの不愉快を感じました。

それはネタゲーだとしても作者の魂胆を見過ごせない、などという確固たる怒りなどではなく、「あー、こういうテイストにしあげちゃったのかー」というもったいなさを感じたといったほうが近いかもしれません。

ドラマ「メンタリスト」の一例

たとえばつい最近、私は海外ドラマ「メンタリスト」の1シーズン16話「Bloodshot(血眼)」という回を見ました。CBIという捜査機関で働く主人公たちが事件を解決していく作品で、おおむね1話完結で見られるドラマです。「踊る大捜査線」や「古畑任三郎」と少し似ているかもしれません。

メンタリスト | Netflix
殺人鬼に家族を殺された過去を持つパトリック・ジェーンはニセ霊能者稼業をやめ、その卓越した観察眼と心理術を活かして警察に協力するようになる。

ネタバレになってしまいますが、この「血眼」というエピソードでは爆発に巻き込まれた主人公が一時的に失明してしまいます。そして同僚の1人である女性が新しい友人(恋人に近い男性)と親しくしている様子が見られ、その友人の男性が主人公たちの事務所に挨拶に来ます。

結果的に、この友人の男性は過去の出来事から主人公を恨んでいて、主人公が巻き込まれそうになった爆発も仕組んだ犯人でした。つまりその同僚の女性は、犯人である男が主人公を殺すために事務所に忍び込む手助けをしてしまったのです。

とはいえ当然ドラマであり、7シーズンも続いている作品の1シーズンめですから、犯人はなんとか捕まり被害は大きくなりません。それどころかその女性の不手際もさほど大きくはとりあげられないでしょう。

なぜならドラマの脚本・演出として、その女性は主人公たちの働く捜査機関にとって必要な人物であり、そのエピソードは「捜査機関の事務所に忍び込んだ犯人がちょっと粋がる回」だというだけで、「その女性キャラをドラマに登場させなくするための回」ではないからです。

私はこれに気づいたとき、大きくではありませんが海外ドラマに失望しました。本来なら犯人を事務所におびき寄せる結果となり、同僚を死の危険にさらすことは許されません(実際、別の男性の同僚は犯人に暴行され出血するシーンがあります)。

つまりそんな出来事があっても、その女性が罰せられないのは「罰しないのがその機関における正当な判断」だからではなく、「ドラマの設定上その回では犯人が事務所に忍び込むきっかけがほしかった」ということであり、「そのきっかけを作るために女性がヘマをやらかすだけで、そのヘマの責任を女性キャラにとらせることは脚本・演出上の本意ではない」ので、その女性は罪を見過ごされるのです。

おそらく日本のドラマやマンガでは、ここまで実利的で脚本主体の判断はされないでしょう。どちらかというとアメリカらしいとすら感じるところです。

不愉快は不愉快

このゲームではそれに似た感覚があり、酷い客が登場してもネタゲー・コメディとしてなら受け入れられると思ったんだろうな、と私は感じました。

少なくとも私にとっては、たとえ想像上のキャラクタであっても不愉快な発言をするキャラは不愉快なのです。たとえそれがゲーム内のキャラであって、実在する人(した人)が元ネタとして存在するかどうかが不明でも、です。

これと似た感覚を、他の「コンビニバイト経験者」の人々が感じるかどうかはわかりません。しかし100%ではないにせよ、同じく不快に感じる人はいくらかはいるだろうとは容易に推測できます。少なくとも私が不快に感じた1人として存在するのですから、私が唯一で残りの99.9%のコンビニバイト経験者がなにも感じない、ということはないでしょう。

たとえゲームの設定であり、架空のキャラクタの立ち居振る舞いだとしても、不愉快に感じられるものは不愉快なのです。

でもネタゲーとしてはちゃんとおもしろい

さて、ここまでいろいろ否定的な評価を並べてきましたが、実のところネタゲーとしてのおもしろさはちゃんとあると思います。それはこれまで述べてきた「黒人への差別があるかもしれない」「不愉快な客キャラは架空でも不愉快」という点を意識的に避けてプレイしたり、もしくはわざとそうした点を除外して頭のなかでイイ点を探そうとしながらプレイしてみると、そう感じられます。

謎の敵、便器魔人。どこからネタが飛んでくるかわからない。

つまるところこのゲームに対する私の評価は、「誰かを傷つけるかもしれない。でもそれを覚悟の上で楽しもうと思えば楽しめるゲーム」ということになるでしょう。

リメイクをプレイして感化されたのか、イタいお客さん。

私はことを大きくしたいわけでもありませんし、問題点を追究して正義漢ぶって気持ちよくなりたいわけでもありません。あえて述べるなら、「ゲーマーが思いのままに楽しんでも他の人から攻撃されないように注意喚起くらいはしておきたい」というところでしょうか。

オススメ度

「クレーム対応RPG」のオススメ度は、Aランクです。Aランクは★が2つ(★★)で、通常の「#1ツイゲームレビュー」と同程度のオススメ度を示します。

このゲームがAランクなのは、これまで述べてきたように「黒人差別のきらいがある」「酷い客は架空だとしても不愉快」という点があるので、Sランクにまでは上がりませんでした。

しかしBランクに設定するほど「楽しさが足りない」ゲームだとも判断できませんでした。あくまで今回のゲームではネタゲーとしてのネタの方向性の筋が悪かったというのがわかりやすかっただけです。こうした方向性の作品でなければ、この作者のネタセンスはむしろもっと輝いたかもしれません。

ですが全体的に見ると、「日本で公開された閉じられた日本人だけのコミュニティでは笑って受け入れられるかもしれない」けれど「世界に知られた瞬間に叩かれる作品」にもなりうる素養をもっていると、私は判断します。

ゲームの情報

タイトルクレーム対応RPG
開発ムキムキチワワ
オススメ度A<GOOD>:★★
リリース日2020/05/02
価格フリー
次元2D(2次元)
ジャンルRPG
特徴パズル/コンビニ/接客/コメディ/シングル
視点斜め見下ろし
グラフィックデフォルメ2D
操作方法キーボード
言語日本語
インストール不要
ファイル容量112MB<アーカイブ> / 128MB<解凍後>(Version 1.01)

ツイート

補足

タイトルとURLをコピーしました