GALLERIAのRシリーズを分析! Ryzenを使った安いゲーミングBTO!

BTO

※BTO製品は時期により構成・オプションの内容が変更されることがあります。今回のエントリの構成内容は執筆時点でのものですので、参照時期によっては異なる場合があることにご注意ください。

今回の中心テーマである「Rシリーズ」は、「GALLERIA デスクトップ」内の区分で見たときの製品シリーズです。「AMD Ryzen搭載モデル」にも同名のRシリーズがありますが、その区分で見たときは「Rシリーズ Ryzen 5」に今回の製品の一部が含まれています。

このエントリの内容はややミクロなもので、ドスパラのGALLERIAを中心とした見方で捉えています。

今回はドスパラのゲーミングBTO製品である「GALLERIA」のRシリーズについて分析していきます。BTOはPCを買う方法のなかでも初心者の方に非常に向いたサービスです。

「GALLERIA デスクトップ」全容(画像はドスパラ公式サイトよりスクリーンショット)

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初 心

ところでRシリーズの「R」ってナニ?

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Caffeine

唐突ですね。しかし、それはやっぱり使われているcpuの――

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初 心

あれかな?!
「俺のリロードは革命レボリューションだ!」
のRかな?!

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Caffeine

いや、まあ
リロード(Reload)も
レボリューション(Revolution)も
たしかにRですけど……

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初 心

しかもシングルアクションアーミーは6発!
Rシリーズも種類は6つ!
これはもう運命!

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Caffeine

うーん、だがこの茶番ネタコント
何の戦術的タクティカル優位性アドバンテージもありませんがね……。

おそらく本来のRシリーズのRは、このシリーズに使われているCPU「Ryzen」に由来していると思われます。
シリーズの名前はともあれ、Rシリーズを中心にGALLERIA製品の買い方を分析していきましょう。

このエントリのポイント

  • BTOではオリジナルを求めて使い続けよう!
  • Rシリーズは安めのシリーズ
    • 安さをとにかく重視する?
    • それとも性能の底上げを図りたい?
BTOは自由じゃない?! BTOでPCを選ぶデメリット!
ゲーミングPCを手に入れる方法にBTOという手段があります。これは実のところさほど「自由」ではありません。しかしBTOは初心者向けともいわれることがあります。実際にはBTOはどれくらいPCを入手する手段として有効なのでしょうか?

BTOでのPCの選び方

当サイトでは、BTOでゲーミングPCを選ぶ際に、わかりやすいようにと「ゲームでキャラクターや装備を選ぶように、BTOでゲーミングPCを選ぼう!」と提唱しています。

自分用のキャラクターを選ぶようなもの

BTOは自作するのに比べると、自分でパーツを選びつつもずっと簡単にPCを構築できる手法です。しかしそれでも、意外とオプションをぜんぶ見て選ぼうとすると、いろいろなところで迷ってしまいがちです。これはまさに格闘ゲームをするときの、「なにも考えてないときにキャラセレクトの制限時間が刻一刻と減っていく」という瞬間に似ています。慣れていれば迷ったとしても相応に適切な選択を行えますし、また少しくらい選択にミスがあっても経験が豊富なのでその選択を活用するよう立ち回ることができます。しかし慣れていないと、選択ミスをしたこと自体に焦ってしまい、なにもかもが巧くいかずすべて投げ出してしまうことにすらなりかねません。

ハッキリいって、格ゲーや対戦ゲームなどで使いたいキャラクターがいればそのキャラクターを使い続ければよく、強い弱いはあまり関係ないように、気に入ったPCがあればそれを選ぶだけで充分です。その対象に情熱を注げばいいだけなのです。

スマブラなどで強キャラといわれるキャラクターを選ぶ必要はなく、ピカチュウやカービィなど自分の好きなキャラクターを選べばいいのです。それで負けることは大したことではありません。そのキャラで勝てるように努力すればいいだけなのです。それがそのキャラへの熱意というものです。

たとえば筆者は、MOBA系PCゲーム「League of Legends」を知ったきっかけは、そのゲーム内のキャラクター「アーリ(Ahri)」と「ソナ(Sona)」でした。

アーリ(左)とソナ(右)

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初 心

わたしはティーモ!
キャプテンティーモ、オンデューティ!

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図部野 素人

害獣は許さん!
害獣は許さんぞおおおお!!

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Caffeine

すごくやかましいですね……。

とりあえずティーモのことは置いておくとして、そのキャラクターを初めは使えるようになるためチュートリアルを進め、現在では「ガレン(Garen)」や「ヤスオ(Yasuo)」など汗臭いキャラを使うTopレーナーになりました。今でもMidをする際にはAhriを選ぶことがありますし、Supをする際にはSonaを選ぶこともあります。このように最初のきっかけは「お気に入りにしたいのが見つかったから」だけでも構いません。

用意されたキャラクターはあくまで用意されたものであり、それを「自分用」にするには少なからずカスタマイズをしていくことになります。当然ながら通説や流行などがあり、そのときどきによって「正解」とされる答えが模索されます。しかしそれらはあくまで「世間的」な流儀です。そんなものにつきあわずとも、「自分流」のスタンスを貫いてもまったく問題ありません。

LoLでいうと、Garenはスキルのクールダウンを減らしてクリティカル率を上げる攻撃的ビルドが好まれる傾向にあります。つまりファイターとして「近づく者みな回転切りで粉微塵にする」というようなスタンスです。しかし筆者の場合、URFなど特殊な事情がない限りはフルタンクビルドにします。つまり防御アイテムのみを買い、味方を守る壁になるスタンスです。Garenでは巧く立ち回れば、タンクビルドでもultの固定ダメージでキルをとることができます。
これはあくまで筆者がいつもしているGarenの使い方です。マネする必要はありませんし、だからといってタンクビルドを笑う必要もありません。対戦ゲームでは攻撃役が花形であるため、それに憧れてみんなが武器を積みます。それを支える役割としてタンクになることは、チームワークを考える上では重要なことです。

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初 心

Supでも武器積む人いるし、
KDに関係なく武器積む人いるからね……。

このような選び方を一般的なRPGの考え方になぞらえるなら、やはり「装備」などの概念がこのカスタマイズに近いでしょう。装備は攻撃力や防御力など各種ステータスを上げるのに使われます。それと同様に、PCの能力を上げるのに各パーツは選択されます。このとき違う点があるとすれば、ゲームではとにかく強くなって敵を倒していかなくてはいけないので「強い装備=正義」にかなり近くなりますが、現実でPCのパーツを選ぶ際は「高性能=正義」とは必ずしもいえないのが現状です。

カスタマイズでオリジナルにしよう

とはいいながも、そもそも格ゲーをはじめ、「ゲームでキャラクターや装備を選ぶように買う」というのは、特にBTOでの買い方に限定されたものではありません。ヨドバシやビックカメラでPCを見て選ぶのも、「キャラクターを選ぶ」のと似ています。

そのような家電量販店で買うのとBTOが決定的に違うのは、BTOでは「オプション」として様々なパーツ・サービスなどが変更できる点にあります。これは「ゲームでキャラを選ぶ」のになぞらえると、「経験値を貯めて能力値を割り振る」「スキル編成をする」「初心者でも戦いやすいように補助機能をつける」といったようなものです。
「経験値を貯めて能力値を割り振る」というのは、お金を貯めて高性能な主要パーツを選ぶことに近いでしょう。
「スキル編成をする」というのは、HDDやストレージなど増やしたり減らしたりできる要素に近いでしょう。
「初心者でも戦いやすいように補助機能をつける」というのは、セキュリティやPC設置サービスなど初心者向けのサービスに近いでしょう。

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初 心

RPGでも装備って迷うもんね。
とにかく最高の装備そろえてからボス倒しに行く人と
苦労するの覚悟でレベル上げもほどほどに戦いに行く人もいるし。

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図部野 素人

属性装備とかあるとなおさらだよなー。

このようにBTOでは、自分の好みに合わせてカスタマイズすることができます。すべてを選択前に完全に理解しておかなければいけないわけではありません。もちろん知っておいたほうが選びやすいのですが、もしすべて理解していたなら、その人は用意されたキャラクターをカスタマイズするのではなく、「自分でキャラクターをつくる」ようになるでしょう。そこまで最初から玄人になる必要はありません。ゆっくりカスタマイズするレベルでも構わないのです。

PCパーツの選び方とは:

「ゲームでキャラを選ぶようなもの」
であり
「装備を選ぶようなもの」
世間的な「正解」は一通りあるが、

「オリジナルカスタマイズこそが正義」
でもある。

GALLERIAのRシリーズの特徴

ドスパラの「GALLERIA デスクトップ」や「GeForce搭載モデル」では、「Rシリーズ」をはじめとしてD・X・M・Zシリーズなどが存在します。そのなかでもRシリーズは、AMD製CPUが使用された特徴的なシリーズです。


「GALLERIA デスクトップ」のRシリーズ(画像はドスパラ公式サイトよりスクリーンショット)

グラボの選択肢は意外と広め

Rシリーズは安価な製品が揃っていますが、グラフィックボードの選択肢は6種類と、意外と多くなっています。Dシリーズの4種類と比べると、その意外性がわかります。

グラボは「技」

グラフィックボードはPCでゲームをする場合は重要なパーツですが、「PC」というもの全体を考えると意外とトリッキーな存在です。その理由は、「特定の用途にしか役立たない」「そのためほしがる人が限られる」「要らない人には徹底的に不必要」だからです。
このグラフィックボードを「ゲームでキャラクターや装備を選ぶ」のになぞらえると、どのように捉えるか難しいかわかるでしょう。キャラクターにとって不要なステータスはほぼありませんし、装備も充実させられるなら充実させるに越したことはないからです。

左の緑色の箇所がグラフィックボードの選択肢(画像はドスパラ公式サイトよりスクリーンショット)

このような点をいくらか無視して、誤解をおそれずに譬えるなら、グラフィックボードは「技」や「スキル」に少し近いかもしれません
技は戦いに多様性を生みます。しかしこれをまったく無視して戦うこともできます。ゲームで戦う際、勝ちにこだわるあまり技の多様性を捨てて「つまらない戦法」をとることは珍しくありません。たとえば、こんなふうに、です。

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図部野 素人

波動拳!
波動拳!
波動拳!
波動拳!
波動拳!
波動拳!
波動拳!

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Caffeine

くっ、防御ばっかりで動けない。
ここはいちかばちか、ジャンプで飛び込もう!

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図部野 素人

昇竜拳!

うーわっ うーわっ うーわっ うーわっ
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初 心

あー、これは
屈辱的な負けだねー。

ストⅡでは、遠距離からの「波動拳連射→しびれを切らした敵がジャンプ→昇竜拳」という戦い方がありました。これは強い戦法でありながら、とてもつまらない戦法でもありました。パンチやキックなどの通常攻撃および竜巻旋風脚などを無視して、ずっとこの戦法をとるというのは非常につまらないものです。こうした「ただ勝ちたいだけ」の美学のない戦い方では、つきあわされるほうも嫌になってくるでしょう。

これはグラフィックボードでいうと、「安いのでいいよ、ゲーム起動できれば」というような選び方に近いでしょう。ゲームとは多かれ少なかれ、様々な攻撃を駆使してコンボを繋げるなどして楽しむものです。その楽しみを捨てるのであれば、波動拳連射のような戦法もひとつの戦い方としてチョイスできるかもしれません。それと同様に、ゲームの映像やスムーズさなどを犠牲にできるのであれば、ごくごく安いグラフィックボードを使用するのも選び方のひとつとしてチョイスできるかもしれません。

グラフィックボードに高性能なものを選ぶというのは、技やスキルを充実させ、華やかさや楽しさを底上げしようという考え方に近いものです。実利を追究してコストを抑えるか、華やかさ楽しさこそが大事だと性能を求めるかは、その人の判断に委ねられます。

Rシリーズのグラボはエキスパートも選べる

ドスパラにおいて実際のグラフィックボードの選択肢を確認していくと、「カジュアル」と「エキスパート」の2種類に区分されています。おおよそ「RTX 20シリーズ」と「それ以外」というような区分です。本来「それ以外」の区分であれば、GTX 1080やGTX 1070が含まれうるものですが、そうしたグラフィックボード製品が除外されているため、このような名称の区分になったのでしょう。

GALLERIAのRシリーズでは、RTX 2070およびRTX 2060を使用した製品があるため、エキスパートの範疇のものもあります。全般的にカジュアルはGTX 1660 Tiで頭打ちとなっているため、やはりエキスパートのほうがグラフィックボードの性能は高くなる傾向にあるでしょう。

CPUは基本的に「Ryzen 5 2600」

RシリーズのCPUは、基本的に「Ryzen 5 2600」が選択されています。これはグラフィックボードと同じく、オプションで変更する選択肢が用意されていないことがほとんどです。またこのRシリーズは、ほぼ「CPUがRyzen 5 2600の製品」と定義されているようなものなので、ここから大幅な変更はできないものと考えておいたほうが安全です。


下の青色の箇所がCPUの選択肢(画像はドスパラ公式サイトよりスクリーンショット)

CPUは「攻撃パラメータ」

「ゲームでキャラクターや装備を選ぶ」のになぞらえると、CPUは「攻撃系のパラメータ」といえるかもしれません。すなわち攻撃力や魔力、また速さもそれに加えられるかもしれません。端的に考えるなら、武器と見なすのもいいでしょう。

CPUはPCの最重要パーツであり、コアです。このパーツに中途半端な製品を使うならば、すなわちそのPC自体が中途半端なものになります。ゲームで戦うときに、防御を固める戦い方は重要ですが、そればかりではやはり楽しみを感じにくいものです。攻撃をしないならそれは「戦い」でなく、単に「守り」に過ぎません。やはりゲームでの対戦では、攻撃を行わなければ楽しくありません。

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初 心

攻撃がはかどると楽しいしサクサク進むよね。
PvPゲームでもみんな攻撃キャラをピックしたがるしね。

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図部野 素人

いぇあああ!
俺がゲームをキャリーしてやるぜえええ!
とッつげえええええき!!!

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Caffeine

典型的な特攻迷惑プレイヤーですね。

CPUを高性能にすれば、PCは素晴らしいものになります。しかしグラフィックボードを中途半端にするなら、とても地味なものになります。
そして「3種の神器」の残り1つであるメモリは、「速度」を示します。通常メモリとは「メインメモリ」、つまりCPUのサポートをするパーツのことを指します。これに対して実はグラフィックボードにも「VRAM」という専用のメモリが搭載されています。そのためCPUという攻撃のための速度というメインメモリと、グラフィックボードという技のための速度というVRAMが、別々に存在するのです。そのため攻撃速度だけ上げて、技の速度はほどほどに、という選び方もできます。
この点を追究すると、他のパーツ(電源ユニット・HDD・SSDなど)は防御的ステータスと見なすことができます。これらはやや地味なので、費用をかける優先度は低く見られがちです。

AMD製CPUはコスパが優秀

実際のBTO製品の話に戻しましょう。
GALLERIAのRシリーズでは、基本構成においてCPUは「Ryzen 5 2600」が選択されています。RyzenシリーズはAMD製のCPUです。AMD製CPUはコストパフォーマンスに優れているとされ、「GALLERIA デスクトップ」のR・D・X/M・Zシリーズのなかでも格安の製品が揃っています。

グラフィックボードになにを選ぶかはともかく、ドスパラのBTOでRシリーズを選ぶというのは、安さ重視の選び方として重要な選択肢となるでしょう。

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初 心

安さは大事。
特に学生とか若いときにはなにより大事だよね!

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図部野 素人

「安い! 安い! 安い!」で充分だ!

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Caffeine

それだと
3拍子じゃなくて1拍子ですね。

なお別のDシリーズでは、Intel製のCPU「i5-9400F」が使用されています。このDシリーズ製品と今回のRシリーズ製品を「同じグラフィックボード」で比較すると、3千~1万円ほどの差となっています(RS5とDSの差が3千円、RT5とDTの差が1万円)。しかしベンチマークによってはCPUのスコアが、「Ryzen 5 2600>i5-9400F」となっていることがあるため、必ずしも「Dシリーズのほうが高性能」とはいえない点があります(参考:PassMark)。

また一部製品では、CPUを「Ryzen 7 2700」に無料アップグレードとすることができるようになっていると確認できました。この点だけを考慮するなら、非常にありがたいアップグレードです。特に確認できた製品にはRF5(使用グラボ:RTX 2070)やRV5(使用グラボ:RTX 2060)など、そのままもとのRyzen 5 2600を使用するには、グラボの性能が勝ってしまっているきらいがありました。この無料アップグレードがいつまで続くかはわかりませんが、この好機を利用すればRシリーズの「低価格帯」つまりローエンドというラインから、ミドルクラスのラインまで底上げすることもできるでしょう。

価格は「8万~14万超」

Rシリーズの価格は、最安値が「GALLERIA RS5」の79,980円(+税)であり、最高値が「GALLERIA RF5」の139,980円(+税)となっています。


Rシリーズの価格帯。10万円以下の製品が目立つ。(画像はドスパラ公式サイトよりスクリーンショット)

最高値のRF5はグラフィックボードに「RTX 2070」が使用されているので15万円近くになるのはしかたがないとして、やはり特徴的なのはシリーズ6製品中の4製品が、税抜きであればという条件つきながら10万円を切っている点にあります。一般的にPCは高価な製品だと見なされています。ゲーミングPCとあればなおのことです。そのなかでやはり「安い」と認識するためには、10万円を切るというのは重要なラインでしょう。もちろんその代償として、性能も安くなりがちなのはしかたがありません。しかし高性能を求めていないライトユーザーの方々であれば、この価格帯には満足できるのではないでしょうか。

ローエンド~ミドルクラス

基本的にRシリーズはGALLERIA全体を見ると低価格帯のローエンドの製品が揃っています。これは価格から見ても、CPU・グラフィックボードから見ても同様です。

そのなかでもグラフィックボードにRTX 2070を使用した「RF5」や、RTX 2060を使用した「RV5」などはミドルクラスに近しいスペックの製品です。さらにはCPUを無料アップグレードすることができると(執筆時には)確認できましたので、この機を利用すればさらに性能を底上げすることが可能です。

Rシリーズの各製品

BTOでゲーミングPCを選ぶ際は、通常のPCをゲーム用途で選ぶ際と同じく、3つのパーツを特に強く意識して参照します。つまりCPU・グラフィックボード・メモリの3種です。これを当サイトでは「3種の神器」と呼んでいます。特にBTOのゲーミングPCでは、各BTO製品を選んだ後でグラフィックボードをオプションで変更できない可能性が高いので、「どのBTO製品を選ぶか?」という段階でグラフィックボードを選びます。これはCPUに関しても同様で、基本的にまず「どのCPUとどのグラフィックボードを使うか?」を考えるのが最優先となります。
メモリに関しては、どのBTO製品でもある程度の選択肢が与えられている「オプションで変更しやすいパーツ」ですので、最優先とまではいえません。

Rシリーズもこの傾向に沿っています。特にドスパラのGALLERIAのR・D・X・M・Z各シリーズは、CPUとグラフィックボードの選択でシリーズおよび製品が選択できるようになっています。今回のRシリーズは各シリーズのなかでも唯一AMD製のCPU「Ryzen 5 2600」を使用しているので、それが好ましく感じられない場合は別のシリーズを選ぶほうがいいでしょう。

GALLERIA RF5

GALLERIA RF5」は、グラフィックボードに「RTX 2070」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。

RTX 2070は、NVIDIA製グラフィックボード「GeForce RTX 20シリーズ」のミドルクラス製品です。Rシリーズに使用されているAMD製CPU「Ryzen 5 2600」では、ややグラフィックボードの性能が強く、CPUにとっては荷が勝ちすぎているきらいがあります。

しかし筆者がこれを執筆している最中(2019/4/3)では、GALLERIA RF5のCPUを「Ryzen 7 2700」に無料アップグレードできるオプションがつけくわえられています。
ベンチマーク掲載サイトで比較してみると、X/Mシリーズで使用されているIntel製CPU「i7-8700」にも匹敵する性能だと確認できます(参考:PassMarkでのRyzen 5 2600・Ryzen 7 2700・i7-8700の比較)。
ゲーミングPCにおいて、CPUとグラフィックボードのバランスは「CPU≧グラフィックボード」であるのが望ましい(このサイトでは「C≧G」の式として紹介しています)ので、このRF5では間違いなく無料アップグレードを使用したほうが使いやすいPCになるでしょう。また単純にCPUの性能を上げられる選択肢としてもありがたいものです。

オプションでは、高速化が実現できる「NVMe接続のSSD」が選択できるようになっています。他の製品でも選択できますが、安価な製品ではSSDは投資優先度が高くないために、ミドルクラスに近いこのRF5などで利用すると高価は高くなりうるでしょう。
しかし「3種の神器」を重視するのが基本ですので、やはりSSDの投資優先度はたとえこのRF5といえども、そこまで高くはありません。もし余裕があるのならば、しっかりとしたミドルクラス製品を選択してもいいかもしれません。
なおRシリーズを通して、SSDはIntel製とSamsung製から選ぶことができますが、NVMe接続SSDは「Intel 512GB NVMe SSD」のみであるようですので、Samsung製がお好きな方はご注意ください。

また基本構成ではメモリが8GBとなっていますが、このPCのスペックであればなるべく16GBにしておきたいところです。メモリはCPUのサポートですので、これが少ないとCPUが作業しているときに余裕がなくなって重くなりかねません。さきほどの「ゲームでキャラクターを選ぶ」という譬えでいうと、防御をおろそかにしたキャラクターになりかねないので、ダンジョンを進むときにやたらと瀕死になって意外と進めにくいようなものです。
とはいえメモリ増設も必須ではありません。ミドルクラス~ハイエンドであればほぼ必須になりますが、このスペック帯であればまだ個人の判断に委ねられるところでしょう。

GALLERIA RV5

GALLERIA RV5」は、グラフィックボードに「RTX 2060」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。
RTX 2060は、NVIDIA製グラフィックボード「GeForce RTX 20シリーズ」のローエンド製品です。

RV5を選ぶかどうかの基準として大きいのは、高値と安値のラインのひとつである「10万円」をどう捉えるかとい点です。10万円以下が希望ならば、やはりより安く税抜きでギリギリであっても10万円を切っているRT5や、明確に10万円以下となっているRJ5などに目移りしてしまいがちでしょう。
実際のところ、10万円というのはキリがいいだけで、このラインを超えるか否かは重要な基準ではありません。しかしやはり買う際には、大きな基準に見えてしまうこともあるでしょう。


グラフィックボードのRTX 2060は、RTX 20シリーズながら現在ローエンドとして最安値の製品です。またCPUはRF5と同様に、「Ryzen 7 2700」に無料アップグレードすることができます。この点を加味すると、ローエンド寄りのミドルクラス、もしくはミドルクラス寄りのローエンドのゲーミングPCとして活用することができるでしょう。

オプションでは、やはりRF5と同様にNVMe接続のSSDが使用できます。しかしたとえCPUを無料アップグレードしたとしても、グラフィックボードがRF5よりワンランク下になるので、NVMe接続のSSDを使用する優先度はそれに応じて低くなります。これはメモリにしても同様で、16GBあると安心ですが、やはり投資優先度は低くなっています。

「10万円を超えるか否か」というラインは、PCを選ぶときには誰もが満足できるスペックを得られるとは限らないラインです。SSDやメモリを高速なものにしたとして、CPUやグラフィックボードの性能自体がやや半端になりがちです。実際、ひとつランク上のRF5で「メモリは16GBにしたほうが使いやすいかも」くらいですので、このRV5では「ライトゲーマーでCPUやグラフィックボードに費用を投じたいわけじゃないけど、やっぱりスムーズにはしておきたいよね」と考える人くらいならしてもいいかもしれない、という程度です。

GALLERIA RT5

GALLERIA RT5」は、グラフィックボードに「GTX 1660 Ti」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。
GTX 1660 Tiは、NVIDIA製グラフィックボード「GeForce GTX 16シリーズ」の製品のひとつです。

RT5を考慮するときは、やはり10万円というひとつのラインと、グラフィックボードの「GTX 1660 Ti」という新しい製品の魅力が大きくなるでしょう。
実際のところ、このグラフィックボード「GTX 1660 Ti」は発売されてから日が浅いため、性能や使い勝手がよくわかっていません。ドスパラにおけるグラフィックボード性能の基準である「3D Mark スコア」が掲載されていないところからもそれがわかります。そのため「GTX 1660 Ti」の存在がセールスポイントでありながらボトルネックでもある、というのが実情でしょう。新製品が好きな人であれば魅力的に映るでしょうし、不明なものが好ましく感じられない方にはおすすめできないものとなりうるものです。

オプションでは、なぜかRシリーズ中このRT5のみで「光学ドライブ」の選択肢が1つ増え、「Pioneer Blu-rayドライブ」が追加されています。他のシリーズ製品にもいくつかこの選択肢が追加されているものがありますが、現代ではCDやDVD、Blu-rayはさほど重要なメディアではなくなってきているため、この選択肢もそれほど重宝するものではありません。

またSSDではこのRT5(1660 Ti搭載)および下のRJ5(1660搭載)では、NVMe接続SSDの選択肢がなくなっています。奇妙なのは、さらに安価なRH5(1050 Ti)およびRS5(1050搭載)ではこの選択肢が追加されている点です。つまりRシリーズ中では、このRT5とRJ5のみがNVMe接続SSDを選択できなくなっているのです。
実質的には安価な製品でSSDの高速化に強くこだわるのは重要ではありません。そのためこの製品で選択肢が削られていてもあまり不満を抱くものではないでしょう。しかしそれならば1050 Tiおよび1050が搭載されたマシンでも削られていておかしくないはずなのです。やや奇妙に見えますが、これがドスパラの判断なのだと捉えておきましょう。

GALLERIA RJ5

GALLERIA RJ5」は、グラフィックボードに「GTX 1660」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。
GTX 1660は、NVIDIA製グラフィックボード「GeForce GTX 16シリーズ」の製品のひとつです。

RJ5の現実的な立ち位置は、ほぼひとつランク上のRT5の亜種であると見なせます。このRJ5と上のRT5との違いが、ほぼグラフィックボードの「GTX 1660に『Ti』がついているかいないか」ぐらいの差だからです。
グラフィックボードの「Ti」は「Titanium」、すなわちチタンを意味するティテニウム(タイテニウム)の略とされ、Tiがついているほうが高速と認識される向きがあります。

RT5のときは価格が10万円を切る点を良しと見るかどうかが基準のひとつでしたが、このRJ5の場合は、そのRT5より1万円安くなっている点をどう判断するかが基準となりうるでしょう。

このRJ5は上のRT5の亜種と見なせるだけに、RT5の「GTX 1660 Ti自体がセールスポイントでありボトルネックでもある」という点も類似しています。そのため新製品が好きで安いほうがいいという方にはRJ5のほうがいいでしょうし、新製品が好きで1万円くらいなら性能のために支払えるという方にはRT5のほうが魅力的に映るでしょう。

またオプションを見比べないと気づきにくい点ですが、このRJ5ではメモリの選択肢が削られており、基本構成の8GBのままか、ダウングレードして4GBにするかしか選べません。この点もRT5を選ぶかこのRJ5を選ぶかの判断基準となるでしょう。

GALLERIA RH5

GALLERIA RH5」は、グラフィックボードに「GTX 1050 Ti」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。
GTX 1050 Tiは、NVIDIA製グラフィックボード「GTX 10シリーズ」のローエンド製品のひとつです。

今回のRシリーズにおいてこれまでの製品は、グラフィックボードに「RTX 20シリーズ」および「GTX 16シリーズ」が使用されています。これらは2018年秋以降に発表された比較的新しいグラフィックボードですが、このRH5に使用されている「GTX 1050 Ti」は前世代的な「GTX 10シリーズ」のひとつです。

RH5の現実的な立ち位置は、ひとつランク下のRS5(GTX 1050搭載)の亜種であると見なせます。その理由は、このグレードの製品になると性能の違いよりも「価格の違い」に目が向きがちだからです。そのため「1050と1050 Tiの差」より「8万円と8万5千円の差」が注目されるようになるのです。
この5千円の差をどう捉えるかが、このRH5を選ぶか下のRS5を選ぶかの判断基準となりうるでしょう。

またRシリーズ中ではこのRH5のみで、ストレージの無料アップグレードが行えるようです。他の製品と同様、期間限定で行われ利用できなくなる可能性がありますので、興味がある方は利用されるのも選択のひとつとなるでしょう。

またサービスの選択肢として「初期設定をして出荷」も追加されています(これもRシリーズではこのRH5のみが選択可能です)。他の製品では「訪問をしてパソコン設置と初期設定」というサービスが選択可能ですが、このRH5においても同様に選択可能です。つまりRH5では初期設定サービスが重複することになりかねないので、選択する場合は注意しておきましょう。

GALLERIA RS5

GALLERIA RS5」は、グラフィックボードに「GTX 1050」が使用されたGALLERIAのRシリーズ製品です。
GTX 1050は、NVIDIA製グラフィックボード「GTX 10シリーズ」のローエンド製品のひとつです。

このRS5の魅力は、やはり「Rシリーズ製品中最安値」という点でしょう。そもそもRシリーズが低価格帯という位置づけだと認識しやすいので、そのRシリーズに注目する方にとってこの「最安値」という響きはおそらく魅力的に映ることでしょう。

実質的には、Dシリーズに76,980円(+税)の「GALLERIA DC」というさらに安価な製品があり、また「非ゲーミングPC」を加えると5万円台の製品も存在するなど、決して「ドスパラのBTOデスクトップで最安値」ではないことにご留意ください。

Rシリーズのなかからどう選ぶ?

Rシリーズの各製品について確認してきました。それではこの各製品からどれを選べばいいのでしょうか?

オプションの選び方

BTOでPCを選ぶときは、オプションの選択のしかたで微調整ができます。選択肢のなかからほしいものを追加したり、いらないものを除外したりできます。

BTOなら有用なサービスを使用しておきたい

BTOで選ぶメリットは、「いろいろなサービスを受けられる」という点にもあります。自作ではこのようなサービスを受けられず失敗する危険性があるため、この不安を拭うことのできるBTOのサービスは初心者の方にとってありがたいものでしょう。

具体的には、Rシリーズでは「修理代金無料のセーフティサービス」、自然故障を保証する「延長保証」、「パソコン下取りサービス」、「訪問をしてパソコン設置と初期設定」、「データ復旧安心サービス」などを受けることができます。

特に充実しているのは、「訪問をしてパソコン設置と初期設定」でしょう。4つのパックから選ぶことができ、初心者の方でもすぐにPCを使用することができるように設定してもらえるサービスです。パックによってはPCを使用する基本操作のレッスンまで行うことができます(PCゲームをほしがる方のどれくらいが利用するのかはわかりませんが)。
少し注意しておきたいのは、古いPCからのデータ移行サービスもパックによって行うことができますが、「5GBまで」という制限があり、「追加5GBごとに+3,000円(税)必要」という箇所です。大容量HDDなどを使用していた場合などは、データ移行は自力で行ったほうが費用を大きくせずに済むかもしれません。

また「修理代金無料のセーフティサービス」は月額制となっているので、気をつけておきましょう。

このようなサービスを選択・除外する場合は、「自力でどの程度ならカバーできるか」を考えておくといいでしょう。PCの外部配線を自力で行うことができないのに、

電源には少しご注意を

オプションを確認していくと、やはり電源に少し注目せざるをえません。
電源は人間でいうと、「口」や「胃」「腸」のように「エネルギーを吸収する器官」に近いものです。電源をケチるというのは、「口が小さく歯もアゴも弱く小食で、胃が荒れていて消化に時間がかかり、腸も弱いのでいつも下痢」といったような具合になってしまいます。電源をケチって供給量が間に合わなくなると、最悪の場合PCは起動しません。もちろんBTOであれば、「起動しないような選択肢」を用意しているとは考えにくいのですが、なるべくなら「余裕」をもたせておいたほうが不安は少なくなります。

シリーズ内の各製品を細かく比べてみると、SSDにNVMeという高速な接続規格に対応した製品が使えるものと使えないものがあったり、オフィスソフトの詳細が異なったりするなどマイナーチェンジがあります。そのなかで基本的に電源は「性能の高い製品ほど電力消費量は大きい」「性能の低い製品ほど電力消費量は小さい」という理由と、「Rシリーズは基本的にどれも同じCPU」という点から、グラフィックボードの性能が高いBTO製品ほど電源も性能を高くせざるをえない、という法則になっています。具体的には、RF5は電源もワット数を大きい選択肢でまとめざるをえず、RS5などはワット数が小さくてすむ、といった内容です。

これは電源の都合を知らないと、「他のパーツはそうじゃないのに、電源だけぼったくろうとしてる!」と勘違いしかねません。電源はPCにおいて唯一の電力を供給できる装置なので、他のパーツが使用するすべての電力をまかなわねばならず、ケチって得するようなことはあまりありません。地味なパーツなのでお金をかけるのは癪に感じるかもしれませんが、ある程度は素直に投資しておいたほうが安全です。

それぞれの製品の違い

各製品のなかから選ぶとき、特に留意しておきたい点について確認しておきましょう。

GTX 1660(Ti)はまだ不明瞭

グラフィックボードに注目する上で、2019年4月段階では「GTX 1660 Ti」および「GTX 1660」の性能の不明瞭さは言及しないわけにはいきません。これはこの両グラフィックボード製品が不明瞭なのではなく、単に新製品なので情報が明らかになっていない、という意味です。

両グラフィックボード製品を搭載しているRT5およびRJ5の項目でも述べましたが、新製品が好きでおおよその性能であるミドルクラスに納得できているのであれば、選択する候補として挙げることができるでしょう。しかしそうでない人には、あまり選択肢としてのぼる時期ではないといえます。

RTX 2070がほしいならCPUも格上にしよう

そしてRシリーズはCPUに「Ryzen 5 2600」を使用するシリーズであるというのは前述しました。このRyzen 5 2600の性能を考えると、グラフィックボードで「RTX 2070(RF5)」を選ぶのはややCPUへの重荷となる可能性があります。個人的にはRTX 2060(RV5)も不安要素がないわけではありませんが、特にRTX 2070(RF5)で顕著でしょう。

このエントリを執筆している段階では、RTX 2070(RF5)・RTX 2060(RV5)のどちらでもCPUを「Ryzen 7 2700」へ無料アップグレードすることができます。利用できる期間内であれば、ぜ活用しておきたいアップグレードです。もしRTX 2070などを使用したいのであれば、この無料アップグレードを利用するか、もっとCPU性能の高いMシリーズやXシリーズにしたほうがPCとしての使い勝手はよくなる可能性があります。

また同様の考え方をするなら、RTX 2060を搭載したRV5もCPUの無料アップグレードを利用して性能の底上げを図ることができます。グラフィックボードの性能差と価格差をしっかりと確認して、どちらがより自分の望みに叶っているか把握すると、より選びやすくなるでしょう。

とにかく安くすませたいならRS5はイイ選択肢

筆者は自作をするので、その観点からBTO製品を見ることもあるのですが、BTOのメリットのひとつとして「安いBTO製品は意外と選びやすいかもしれない」と見なしています。これは安価なBTO製品をオススメしているのではなく、自作を行うときは「コストの切り詰め」がおもいのほか難しいため、「自作をすればBTOより安くすませられる!」と軽妙に語り上げることができない点を考慮してのものです。

自作をするときに「安さ」、すなわち費用を抑えられるという点を考慮するなら、おそらく安価な製品でコストを切り詰めるより、高価な製品を「安く購入する」という方法を探したほうが実りが多いかもしれません。たとえばGALLERIA製品のなかでも非常にハイスペックな「GALLERIA VZ-X」は「729,980 円(+税)」と設定されています。基本構成はIntel製CPU「i9-9980XE」、NVIDIA製グラフィックボード「RTX 2080 Ti」を2枚使用、メモリは32GBです。これらを価格.comでざっくりと調べてみると、CPUの「i9 9980XE Extreme Edition BOX」が224,972円、グラフィックボードが「NE6208TS20LC-150AドスパラWeb限定モデル」が1枚で143,910円(×2で287,820円)、16GBメモリ×2の「CMK32GX4M2A2666C16」が22,498円です。これらを合計すると、535,290円となります。これは機械的に各製品の最安値を価格.comで検索・足し算しただけの数値です。この数値をもとのBTO製品から引くと、「729,980-535,290=194,690」となります。つまり19万円でCPU・グラフィックボード×2・メモリ以外の製品を揃えることができれば、おおまかにこのBTO製品より安く自作することができます。

これはインターネットで機械的に検索をかけただけなので、ジャンク品や海外製品を視野に入れると他の選択肢も考えられるでしょう。このように「安い製品をより安く」より「高い製品をいくらか安く」のほうがずっと楽です。

この点を考えると、やはり「安価なBTO製品」というのは、自作を視野に入れたとしても選びやすい選択肢のひとつとして挙げることができます

ミドルクラスにまで底上げしたい?

安値を大きく視野に捉える買い方をするときに、やはり気になるのは性能を考えて「ミドルクラスに底上げするか?」という点です。毎日頻繁にゲームをするわけではないライトユーザーの方であれば、ローエンドの安価な製品でも満足できるかもしれません。しかしいろいろなゲームを繰り返しプレイする方にとっては、安さが魅力でありながらも性能をそう簡単に見限ることはできないでしょう。

今回のRシリーズに関しては、ミドルクラスの製品は基本的にはないと考えて差し支えないでしょう。その理由は、CPUです。
Rシリーズの基本CPUは「Ryzen 5 2600」です。このCPUの性能はミドルクラス寄りのローエンドですので、このCPUを使用している限りそのミドルクラス寄りのローエンド以上のPCとして使用することはほぼできません。そのため基本的な選択肢として、ミドルクラスまで底上げをしたいのならCPUをもっと性能のいいものに変えるしかありません。CPUはPC自体の中心パーツであるため、たとえゲーム用途であってもCPUを良質にしないと扱いにくいものになってしまうのです。

今回、例外があるとすればやはりCPUの無料アップグレードを挙げることができます。RF5(2070搭載)もしくはRV5(2060搭載)であれば、無料アップグレードを受けられる可能性があります。このときのアップグレード先は「Ryzen 7 2700」であり、オクタコア(8コア)のCPUが選択できます。
このRyzen 7 2700は、一部のベンチマークスコアでは「i7-8700(X/Mシリーズで使用されているCPU)」に匹敵すると示されています。これが無料アップグレードできるのであれば、使用しない手はありません。

オススメはCPUアップグレードか安めか

今回のRシリーズのなかから筆者がオススメするとすれば、RTX 20シリーズを使用したRF5・RV5を無料アップグレードでCPUを格上げするか、RH5・RS5を選び格安でゲーミングPCを手に入れるか、のどちらかです。現在のところ、GTX 16シリーズのグラフィックボード2種は、BTOでPCを買うような初心者の方にオススメするには時期尚早です。そのリスクを承知してもらうより、Rシリーズの製品では上(RF5やRV5)も下(RH5やRS5)も特徴づけられているので、購入者がなにを魅力に感じるかによって住み分けができるようになっています。

しかしやや難点があるとすれば、上のRF5やRV5はCPUを無料アップグレードできる期間に限り有効な選択肢として浮上します。このアップグレードが終了してRyzen 5 2600に戻ってしまうなどすれば、魅力は半減します。その場合は、筆者なら他の製品をおすすめしてしまうかもしれません。

Rシリーズにする? Dシリーズにする?

このRシリーズと性能を比較しやすいシリーズに、Dシリーズがあります。ドスパラのGALLERIAではシリーズがCPUで区分されているため、RシリーズとDシリーズの違いもCPUの違いにあるといえます。

CPUの重要性

CPUは先述したように装備品における「攻撃力」を担う武器などに近いということでした。戦いに赴くときは装備品をしっかりと確認しないといけないように、PCを構成するときは何度も確認したほうが安全です。特にCPUは戦いの道を切り開くための「攻撃」を担うので、しっかりと考えておいたほうが無難でしょう。

Ryzen 5 2600とi5-9400Fの違い

GALLERIAでは明確にCPUとグラフィックボードでBTO製品が変わるため、CPUを詳細に見ていくのであれば、シリーズ別に注目していく形になります。とくに今回のRシリーズは、GALLERIA全体を通しても格安シリーズであるために、これより安価な候補がなく、必然的に価格が上の製品と比較することになります。具体的には、Dシリーズで使用されているi5-9400Fと比較することになります。

名称Ryzen 5 2600i5-9400F
搭載BTOシリーズRシリーズDシリーズ
コア数66
スレッド数126
基本クロック周波数3.4GHz2.90GHz
最大クロック周波数3.9GHz4.10GHz
TDP65W65W

上の表が、おおまかな両CPUのスペックです。共通しているのは、6コアでTDPが65Wである点です。

各数値について、軽く確認していきましょう。
「コア」はCPUの処理を実行する中核です。かつて複数のCPUを使用してパフォーマンス(処理能力)を向上させる手法が考えられましたが、現在の個人用PCでは複数のコアを搭載したCPUを1つ利用するマルチコアプロセッサを使う手法が一般的です。そのためコア数が多いほど処理能力が高いといえます。
そしてこのコアの処理するラインのようなものが「スレッド」です。仮想的に増やすことができるため、1コアに2スレッドを割り当てることができます。スレッド数も多いほど処理能力が高いとされます。

「クロック周波数」は、人間でいえば頭の回転の速さのようなものです。CPUはクロックという信号のリズムに合わせて処理をするので、このクロックが短いほど早く処理を行えます。クロック周波数は「1秒間に何クロックの信号が送られるか」を意味し、これも大きいほど処理能力が高いとされます。

TDP(Thermal Design Power)は「熱設計電力」を意味し、どれくらい電力を消費し発熱するかを示します。これが大きいと消費電力も発熱量も大きくなるため、TDPが低いほど扱いやすいCPUであるといえます。

 

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初 心

CPUが武器の攻撃力だとすると、
TDPは武器の重さみたいなものかな。
重すぎると素早さが低くなって
戦いにくくなるっていうようにね。

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図部野 素人

じゃココロは
TDPが1000ぐらいあるってことだな
(うまいこといったようなドヤ顔)。

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Caffeine

あー、
そういうネタは女の子には……

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初 心

ナニそれ!
あたしが重いってこと?!
ダイビング・フット・スタンプ!

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図部野 素人

(肋骨のきしむ音)
ぐぎゃあああああああああ!!!

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Caffeine

因果応報ですね……。

なおRシリーズとその付近のCPUをより細かく比較するのならば、一部Rシリーズ製品内でCPU無料アップグレードが行えるためそのアップグレード先の「Ryzen 7 2700」、そして明確に大きく差を広げられているX/MシリーズのCPU「i7 9700K」および「i7-8700」とも一緒に比べてみましょう。
比較用として価格.comの比較表へのリンクを掲載しておきます(参考:価格.comへのンク)。

名称Ryzen 5 2600Ryzen 7 2700i5-9400Fi7-8700i7-9700K
搭載BTO製品Rシリーズ※1DシリーズX/MシリーズX/Mシリーズ
コア数68668
スレッド数12166128
基本クロック周波数3.40GHz3.20GHz2.90GHz3.20GHz3.60GHz
最大クロック周波数3.90GHz4.10GHz4.10GHz4.60GHz4.90GHz
TDP65W65W65W65W95W

※1 RF5およびRV5のCPU無料アップグレード先

各CPUを全体的に比較してみると、i5-9400Fのスレッド数が「6」と少ないこと、i7-9700Kのクロック周波数が(基本・最大ともに)高いこと、それと共にTDPもi7-9700Kが高いことなどが際立って見えます。

今回のRシリーズ基本構成のCPU「Ryzen 5 2600」を中心に見ていくと、コア数・スレッド数・各クロック周波数を比較すれば、格下~同格というのはやはりi5-9400Fくらいと見てとれます。
やはりこれまで確認してきたように、Ryzen 7 2700は純粋な上位互換とはいえないまでも、優秀なアップグレード先であると考えられます。
特に各シリーズ製品の価格を考慮すると、Ryzen 5 2600は「レースで最後尾ながら中間層にしっかり噛みついている」ような製品だと見なせます。

今回のエントリで少し注意したいことがあるとすれば、「ローエンド」および「ミドルクラス」の考え方についてです。今回のエントリではRシリーズを基本的にローエンド~ミドルクラスの製品だと見なしています。これは「GALLERIA製品全体から見て」という視点のものです。これを「現在使用するPCとして」という視点からであれば、このCPUの比較から見るとRyzen 5 2600は決して非力なCPUではありません。その視点からRyzen 5 2600はミドルクラスの実力があると認識することもできるでしょう。
あくまでローエンド・ミドルクラス・ハイエンドという区分は、相対的なものに過ぎません。ゲームやマンガによってキャラクターの強さが違い、「悟空とルフィどっちが強い?」という際強キャラ論争では議論がまとまりにくいように、「どの視点で判断するか」によって区分が変わることは往々にしてあります。
今回はドスパラのBTOゲーミング「GALLERIA」についてのエントリですので、この視点を重視しました。

このエントリのまとめ

  • PCを選ぶのは、「ゲームでキャラや装備を選ぶようなもの」。
    • 気に入ったものを使い続けるのが正義!
      • グラボは「技」
      • CPUは攻撃パラメータ
        • CPUの能力を下げすぎると使いにくくなる!
      • メモリはスピード
    • BTOのメリットは、「オプション」と「サービス」。
      • オプションでオリジナルにカスタマイズしよう!
      • サービスでPCへの不安を拭おう!
    • Rシリーズは全体的に安め。
      • 無料アップグレードで底上げする?(RF5やRV5)
      • とことん安値を目指す?(RH5やRS5)

さいごに

RシリーズはAMD製のCPUを使用しており、初心者の方には少しわかりにくいシリーズになっているかもしれません。しかし安価な製品がほしい人たちにとっては、充分有力な選択肢となるでしょう。
実際、筆者が今もしまったくPCの知識がなく、安い製品をほしいと考えていたとしたなら、RH5やRS5はイイ選択肢だと感じたかもしれません。

ゲーミングPCは、その名前にゲーミングという名が冠されていますが、PCであることに代わりありません。PCは頻繁に買い替えるものではないため、気に入ったものを買えるといいですね!

2019年決定版! ゲーミングPCに本気でオススメできるグラフィックボードとは!?
グラフィックボードを選ぶとき、いろいろな事柄を考えねばならず、初心者の方であればこそ面倒な作業だと感じられてしまうでしょう。そんな方のために、種類がいくつもあるグラフィックボード製品から、元号が令和に改められた2019年もっともオススメする製品を紹介します!
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