先日ふとした機会に、「デスクトップPCってどんなのがいいの?」というふうな相談がありました。そのときは筆者だけでなく、PCの使用に慣れた人たちが喧々囂々といろいろな意見を語っていました。
筆者が少し驚いたのは、PCに慣れた人たちからほとんど「自作」に関する意見が出ないことでした。筆者も彼ら全員の趣味を把握しているわけではありませんでしたので、自作PCを趣味とする身として「そうか」と感じるものがありました。
筆者の感慨は置いておきましょう。今回はその相談者の疑問に、多方向から考えてみることにしましょう。当サイトはゲーミング目的というのが前提ですが、今回のエントリではあえてより広範にPCを使う意義、選ぶ方法について見ていくことにします。十人十色の答えが見つかることでしょう。
このエントリのポイント
- PCを使用する目的はハッキリ意識しておこう。
- 重いソフトを使う=性能が必要=予算がかかる。
- 高性能にしておけばとりあえず大丈夫ではある。
- 自作PCをする気持ちがあるかないか、は大事。
基本的な選び方
一般的に商品を選ぶ際には、安さが重視される傾向にあります。「お金」が大事なリソースだというのは日本に限りませんし、誰でも熟知していることです。しかし「安かろう悪かろう」「安物買いの銭失い」という言葉にあるように、安いものは全能ではありません。
もちろん価格は基準のひとつですが、その他にはどういった基準があるのでしょうか。
- 基本的な判断基準は「目的」と「予算」
- 目的から求める「性能」が算出される
- 年齢や性別は関係ない
- よくある3つの答え
- デスクトップかノートか
- 高負荷とされる用途
- 大は小を兼ね、高性能は低性能を兼ねる
- 「いい」という考え方
- どんなCPUを選ぶ?
- どんなメモリを選ぶ?
- どんなグラフィックボードを選ぼう?
- ストレージはどれにしよう?
- マザーボードはどんなものを選べばいい?
- どんな電源ユニットを選ぶべき?
- PCケースはどうしよう?
- I/Oデバイスはどうしよう?
- 基本的なパーツ選びの考え方
- 1万円以下の場合
- 3万円以下の場合
- 5万円以下の場合
- 8万円以下の場合
- 10万円以下の場合
- 10万円以上の場合
- 20万円以上
- 結局どうやって予算を使うべき?
- 量販店などで既製品を買う
- BTOで購入する
- 自作する
基本的な判断基準は「目的」と「予算」
PCに限らず、なにか商品の購入を検討する場合には、「目的」と「予算」がどの商品を選ぶかという判断の基準になります。
もっとも重要なのは「目的」でしょう。目的がしっかりとしていて予算が足りない場合は、予算を引き上げるために努力で補うことができます。
しかし予算がしっかりしていても目的が曖昧であれば、ただぼんやりと浪費するだけに過ぎません。
PCはパソコン、すなわちパーソナルコンピュータの言葉通り、個人で使用できる機械です。PCを使用している人と使用していない人では、機械に対する考え方が異なります。
これはスマホでも同様です。物心がついた頃からスマホや携帯型ゲーム機のようなデジタルデバイスに慣れ親しんだ世代をデジタルネイティブと呼びますが、この世代とPCに疎いシルバー世代などでは機械への認識が異なって当然でしょう。
違った認識をもつ人たちがPCを買う場合には、選び方も異なって当然です。シルバー世代のようにPCに疎い人たちは、スマホでもPCでもなにを優先すべきか迷うでしょう。
デジタルネイティブ世代でも目的意識が曖昧で知識が欠けていれば、スマホであろうがPCであろうが的を外した製品を購入しかねません。
しっかりと自分に見合った製品を選べるのは、知識をしっかりともち、かつ目的意識をはっきりともった人であるといえるでしょう。
目的から求める「性能」が算出される
商品には種類がいくつもあります。実際にそうした商品を比べる際の基準となる「性能」や「効能」などの違いは、「目的」から算出されます。なぜならばその製品を欲する根本的な理由は、その「製品」にあるのではなく、その製品の「性能・効能」にあるからです。
「人々はドリルを買いたいのではなく、穴がほしいのである」という至言は広く知られています。セオドア・レヴィット(Theodore Levitt)というアメリカの経済学者が残した「People don’t want to buy a quarter-inch drill, they want a quarter-inch hole.」が出典とされています。
同様に「Googleの顧客は、検索エンジンを無料で利用するユーザーではなく、そのユーザーの情報を元としたサービスのためGoogleに費用を払う企業などである」という考え方もあります。
こうした考えは「人は(私は・あなたは)なにを本質的に求めているか」を考える材料になります。我々はPCを買うときに、ただPCを欲しているということはありません。それは目的と手段を履き違えた考えです。PCはあくまで道具に過ぎません。それを使用し使役する人間には、使用し使役するだけの理由があって然るべきです。
「どういったPCを選ぶか」という問題では、「目的」が欠けると答えがぼやけてしまいます。どんな性能の製品を選ぶかは、なんのためにその製品を使おうと考えているのかという目的意識が重要なのです。
年齢や性別は関係ない
PCを選ぶ際、購入者がどんな人であるかは基本的に関係ありません。学生であれば安い製品が好まれる傾向にあります(社会人より収入に限度があるため)が、それは高性能なPCを使用してはいけない理由になりません。
同様に性別にも関係してこないのは誰にでもわかります。よく「なにもしてないのにPCが壊れた」というような言葉を使うのが女性の特徴だと見なされることがあります。男性でも使うものであり、偏った見解だといえます。
大事なのは現状として「どれくらい上手に使えるか」という過去からの含蓄であり、また「どれくらい上手に使いたいか」という未来への意欲であり、そのために「どれくらい学ぶ意志があるか」という現在の覚悟でしょう。
これはPCに限らず、すべての製品に言及できる点です。扇風機やTVや電子レンジやエアコンに比べると、用途が広く自由度が高いために学ばないといけない領域が広いだけのことです。
この点は誰もが考えておかなければいけません。筆者も考え続けなければいけませんし、現在このページを読んでいらっしゃるあなたも考えなければいけない根本的な点です。
無視することは容易です。心配が少なく感じるので、そのほうがずっと楽です。しかしこの点を考えている人と考えていない人では、心構えが違います。考えていない人は浪費しがちなのです。
目的意識に欠けながらも予算が潤沢にある人は、悩む必要はありません、ただただ高性能なものを購入しておけば、どんな状況にも対応できます。
やはり目的がありながらも、予算の関係から満足できる性能を得ることができないのが難点です。
財力は、物事を達成しうるごくごく基本的な能力です。それに欠ける学生のような方々が充分な性能をもってはいけないことは決してありませんが、もちにくいという点はしかたがないという言うしかありません。
筆者は自作PCの経験者として当サイトを運営しています。そうした身として、そのような苦汁を舐めている方に容易に諦めろとはいえません(無理難題に対しては不可能だと断言しますが)。かといってそういう方にお金を渡すというのも現実的ではありません。
そうした方にも向けて、「現状の財力のみ」で考えるのではなく、追々バイトでも宝くじでもなんでもいいのでいくらか収入を得ることができれば「追加で増強」できるということを明確に提案したいと考えています。
PCを使う目的はなに?
さて、それでは「PCを使う目的」とはいったいなんなのでしょうか? この答えはいくつも想定されますし、非常に多種多様な答えがあることでしょう。
もっとも多いのは「便利だから」という曖昧な答えでしょう。「もっていないと世間に置いていかれるから」というのも同様です。こうした曖昧な答えはあえて除外しておきましょう。
よくある3つの答え
次に考えられるのは「仕事のため」という理由です。実際にはこれも「便利だから」という理由の別の形に過ぎませんが、いくらか目的はハッキリとしています。WordやExcelなどのMicrosoft Officeサービスを利用して仕事に役立てるなど、具体性があります。インターネットを利用してマーケティングを行うというのも同じです。学生よりも社会人に多い目的でしょう。
学生に多い目的を考えてみると、やはり「ゲーム」という目的がすぐに浮かび上がります。2000年代中頃から次第にこの機運が高まり、サブカルに興味のある人たちの間ではすでにPCは「ゲームのハード」として認識されています(筆者は学生ではありませんが、同じ認識をもつ一人です)。日本ではSteam(2003年にリリースされたゲーム用プラットフォーム)の登場や、RPGツクールをはじめとしたフリーゲームの台頭がその一助となったといえます。
また一般的なPCを使う目的として、「ネットサーフィン」があります。死語として今では使う人がやや少ない言葉ですが、単に「ネットブラウジング」など別の言葉に置き換えられただけで、「ネットを特に目的もなくぶらぶら閲覧する」という主旨は変わっていません。
実質的には目的意識としては強くないのは同じで、「テキストサイト」を閲覧するのとYouTubeのような「動画サイト」を閲覧するのとではやはり要求スペックが異なります。
そしてこの使用法はスマホに取って代わられているところも多いでしょう。PCのほうがスマホより性能がいいのは間違いありませんが、携帯性が高いスマホは利便性も高くなっています。
大まかに目的は、この3つにわけられるでしょうか。ゲームやネットブラウジングを「趣味」とまとめると、おおよそ「仕事のため」と「趣味のため」にわけることもできます。実用性をもとめると仕事と趣味に集約されるというのは、とても理解のしやすいものです。
具体的に用途を設定しよう
明確な目的意識という観点からすると、仕事・ゲーム・ネットブラウジングのいずれもやや曖昧です。いずれも範囲が広く汎用的だからです。具体的な目的意識を挙げるなら、「Microsoft Officeさえ動かせればいい」「PUBGを常時60fps以上で毎日プレイしたい」「ハイスペックなPCは要らないけど、マイクラみたいな簡単な3Dゲームくらいはプレイしたい」のように具体的なソフトや、そのソフトをどういうふうに使用したいかくらいは考えておくと良いでしょう。
また「この程度を上限にしておく」という考えがあると、PCの性能を設定しやすくなります。その反面、その上限以上の能力は持ちえないので、短絡的に考えずに長期的な視点をもつようにしましょう。
PCを初めて買おうとしている人の場合
以上の3つの目的からやや外れ、かつあえて取り上げておかないといけない特別な用途に、「まったくPCを触ったことがないから、とりあえず慣れるためにほしい」というものが挙げられます。
こうした方は、前述のような「具体的なソフトやそれをどう使いたいか」という詳細な用途を設定できるはずがありません。
そういう方々はまず高価なPCを買うべきではありません。使用頻度が低くなることが容易に想定されるからです。長期的な観点としても、「いずれPCを増強するかもしれない」という見方より、軽度の用途として「Microsoft OfficeやMinecraft、RPGツクールなどのフリーゲームを不満なく動作させ続けられる」程度の性能を想定するほうが、初心者的な使い方に適っていると考えられます。
細かくは後述しますが、予算を1万円、3万円、5万円と細かく刻んで、その額に見合った性能のPC構成について考えています。初めてPCをもちたいという方に向けた、あらかじめ簡単な結論を申し上げておくと、5~8万円程度で考えてみると良いかもしれません。
3万円では低負荷な使い方であっても「不満なく」使い続けるのは難しい予算帯です。かといって10万円という予算帯は、どのようなものかわからない初めてのものに投資する額としては不適切でしょう。実際のところ、8万円であってもやや高額だといえます。
そのような初めての方には、低性能でも安いものを提供したり、やや高価でも性能の高いものを提供したりするより、世間一般の多くの方が享受しているPCの恩恵に触れる機会を多く提供できるほうが良いでしょう。「PCになにができるのか」という本質よりも、「世間の人はどうPCで楽しんでいるのか」という一般大衆的な喜びのほうが素直でしょう。
そのためには「メモリ」から優先的に投資して、次に「CPU」に予算を割き、「グラフィックボード」は時に不要で、他の基本パーツに関しては手を抜かない、という堅実な構成が求められるかと思います(各パーツの名前は今はわかりづらくとも順次憶えていただければ大丈夫です)。
デスクトップかノートか
PCを選ぶ際、デスクトップ型PCにするかノート型PCにするかは、かなり大きな分かれ目です。
ノートパソコンという名称は日本に顕著であり、アメリカではラップトップ(Laptop)やノートブック(Notebook)という名称が一般的です。lapはヒザを意味し、膝の上に乗せて使用できるようなパソコンを指します。大まかにノートパソコンと同義と見て良いでしょう。
携帯性という違い
根本的なデスクトップPCとノートPCの違いは、携帯性です。
デスクトップPCは各パーツが大きく、携帯性が極端に悪いのが特徴です。持ち運びができないのですが、大きさや重さに頓着しなくて良い分、性能が高いのも顕著です。またいわゆる「自作PC」と呼ばれるのはデスクトップPCを対象としたものが基本となります。
ノートPCは携帯性が高く、仕事などで移動する際にも利便性が高いので重宝する形態です。携帯性を確保するために大きさや重さに頓着せねばならず、機能性はデスクトップPCより低めとなっています。
より携帯性の高いのがスマートフォンでしょう。スマホはノートPCより小型のPCのように認識されることもあります。厳密には異なりますが、ここではそうした話は余談にすぎないので省略します。あくまでPCにテーマを限定することにしましょう。
性能の差は?
一昔前に比べるとノートにも充分な性能があり、マルチタスクなどもかなり容易になっているため、比較的軽いソフトを使うだけならノートだけでいいという考え方もあります。これはゲームにおいても同様で、Minecraftや2Dのゲームなどであれば、たしかに不満なく遊ぶことができるでしょう。
デスクトップとノートを隔てるのは、性能として「ノートパソコンでは動かしづらいソフト」を使うか否かぐらいの違いしかないかもしれません。実質的にOSの違いも使用感の違いも大きくないので、具体的にどういうソフトを使用するかくらいしか差がないのです。
いわばコーヒーで、豆から挽くかインスタントで済ませるか、という程度の違いです。インスタントコーヒーが優秀なため、豆へのこだわりなどがなければ多くの人がインスタントで済ませてしまうでしょう(スマホは缶コーヒーのようなものでしょうか)。
現実的には豆から挽かないと出ない香りがあるように、「優秀なノートPC」くらいではラグやフリーズが発生するソフトがあります。そうしたソフトを使用する際は、デスクトップを選ぶしかありません。またノートはデスクトップと違い既製品として購入する頻度が格段に高いため、人件費などで割高になりやすいものです。
ノートでなくデスクトップを優先する理由は、実のところこのくらいしかありません。
しかし逆に見れば、ノートを選んだ場合は重いソフトを使うことは難しくなります。後でデスクトップを買うくらいの余裕があれば別ですが、やはり事前にどんなソフトを使うことになるか考えておいて損はないでしょう。
高負荷とされる用途
ノートではなくデスクトップを選ぶ理由は「重いソフトを使う」かどうか、でした。ではどういったソフトが重いとされるのでしょうか。
現在ではネットブラウジングや動画閲覧は、さほど負荷の高い行為ではなくなってきました。もちろん厳密にはデスクトップであれノートであれ性能によって違いが生じます。ブラウザがタブ化されて当然になったこともあり、以前に比べると負荷が高まったとも考えられます。
しかしメモリなどのパーツが安価になってきているため、その程度の行為であれば高負荷と見なすことはできないでしょう。
やはり高負荷として顕著なのは、3D処理でしょう。これは3Dのモデルなどを作成する(=ゲームを作るなど)場合はもちろんのこと、3Dのモデルを閲覧する(=ゲームをプレイする)といった場合でも同様です。
また動画の編集やエンコーディングなども比較的負荷の強い行為だとされています。
他にはスパコンで研究目的に行われるような高性能計算を行うのも高負荷といえますが、これは一般的な行為ではありませんので除外しましょう。
また仮想通貨のマイニングなど、継続的に高負荷な作業を続けることもあります。これもさほど一般的とはいえません。
こうして見てみると、高性能計算・マイニング・3Dゲーム制作など、やや専門性の高い行為が目立ちます。そのなかで一般人が行うようなものといえば、やはり「ゲーム」くらいかもしれません。
この視点で見ると、ゲームをするか否かという目的の違いにより、求めるPCの性能が変わるので、そこからデスクトップを選ぶべきかノートで充分かという判断も変わってくるでしょう。
大は小を兼ね、高性能は低性能を兼ねる
あえてここで、これまで考えてきたセオリーを無視した考え方を述べると、「大は小を兼ねる」という可能性の保持の仕方があります。ご存知の通り「バッグなどでは小さいものより大きいもののほうがたくさん入るから、大きいものを選んだほうがたくさんの状況に対応できる」というような将来の可能性を考えて選ぶ方法です。
「将来絶対に高負荷なソフトを使用しない」と断言できる?
たとえばゲームで遊ぶのは好きだけど、どういうゲームをするか現状では細かく考えてない人などは、この「大は小を兼ねる」で将来的な損を減らせる可能性があります。大勢の人がプレイして活気づいていて、世間の流行の一種になるようなゲームがあれば、たとえそれが高負荷なゲームでもプレイする可能性がある、という人です。
たとえそういうゲームがあっても、高負荷ならプレイしない、と心に決めている人は当てはまりません。
PCのパーツには「容易に増設できるパーツ」と「容易に交換できないパーツ」があります。
前者は「増設」とあるように、数を増やすというベクトルで性能アップを図ることができるパーツです。ストレージ(HDD・SSD)やメモリなどがこれにあたります。
後者は「交換」とあるように増設とは別のベクトルの、換装などでそれまで使用していたパーツを再利用できないパーツです。CPUやグラフィックボードがこれにあたります。
厳密にはグラフィックボードにはSLIやCrossfireなどで複数のグラフィックボードを利用できる機能がありますが、1つのPCには1つのCPU・グラフィックボードというのが基本的であり、複数利用も条件が設定されてしまっているのでここでは省略します。
容易に増設できるストレージやメモリは価格も比較的おだやかで、1万円で充分な性能の向上を見込むことができます。
しかし容易に交換できないCPUやグラフィックボードは、性能を充分に向上させようとすると相応の費用を投資しなければなりません。
のちのち高負荷なゲームをプレイする可能性が高いならば、交換しにくいCPUやグラフィックボードは少し根が張っても高性能なものを選んだほうがいい場合があります。
将来のためにあらかじめもっておく
目的意識がはっきりしていて、「絶対に高負荷な作業はしない」と決めている人は、高性能を求める必要はありません。
長期的な観点から「買い直す」および「買い替える」という状況を考えてみると、現在求めている性能の少し上あたりを狙うほうが安定しやすいでしょう。
もちろん予算については考慮していないので、出費を抑えたいときはこの限りではありません。
PCを選ぶ際の基本的な姿勢は「用途を限定する」ことです。この姿勢で予算を抑えることができます。
これに補助的かつ長期的な視点を添えると「余裕をもたせておく」という伸び代を確保しておく考え方ができます。
つまり明確な目的意識は、しっかりと予算を抑えるのに役立ちます。それに対して予算を少し多めに確保して性能を向上させることで、今現在はなくとも将来的に増えるかもしれない目的を、あらかじめ満たしておくことができるのです。
「いい」という考え方
テレビ朝日系列で「アメトーーク」という人気番組があります。この番組の人気企画として「家電芸人」という企画があります。
かつて司会である雨上がり決死隊の宮迫さんがビックカメラでロケを撮影しながら、洗濯機を選ぶ際に店員さんに「いっちゃんええヤツはどれなんですか?」と聞く場面がありました。他の出演者から顰蹙を買う発言でしたが、掃除機を選ぶ際も同じ発言をしました。
またPCを選ぶことにもなったのですが、PCを使ったことがなくOSの違いもわからなかったため本体のみで約35万円のMac Proを見たり、CPUのことを「脳みそ」と譬えられて「完全に馬鹿にしたやろ(笑)」と言ったりしつつ、結局当時売れ筋とされていた12万円超のTOSHIBA dynabookを「ポイントでPS3を買える」という理由から購入しました。
なおその後、チュートリアルの徳井さんが「『いっちゃんええヤツちょうだい』って言うのは、パソコンを買うときに一番言っちゃダメです」とたしなめられていました。
実際CPUの説明で「脳みそ」というのはセオリーですし、「一番いいもの」というのは厄介な評価です。この例は初心者が陥りやすい失敗としてわかりやすい顕著なものです。しかし我々はここから学べるものがあります。他人を笑うだけでは得るものは多くありません。
なにが「いい」か理解できているかどうか
そもそも「いい」とはなんなのでしょうか? この点に関して深く考えることは哲学的な分野なので、考えられるところだけでも考えておきましょう。
少なくとも家電、そしてPCという分野で「いい」というのは「購入者に利益がある」という意味であることは明確でしょう。今回これまで考えてきた見方からですと、「性能」という点で「高性能」であることいいということであり、また「価格」という点で「安い」ということもいいということであるといえます。
しかし「高性能だからいい」というのと「性能のわりに安くていい」というのとは違います。高性能はただそれだけで価値があるのであって、製品の性能のわりに安いというのは販売方法もしくは購入方法の違いに過ぎません。
たとえばオンラインのネットショップで製品を購入する際は、値段交渉ができません。それでも値引きを図るという場合は、より安いショップを探したり、クーポンや期間割引を狙ったりするなど別の手法に頼るしかありません。
しかしショップで安く購入するにはポイントカードやクレジットカードの利用が条件となることがあるなど、いわゆる「囲い込み」の手法にみずから飛び込むことになります。場合によってはメールアドレスを登録せねばならず、その製品を一度買うためだけにそのショップを利用するだけでもダイレクトメールなどがたくさん届く結果になるかもしれません。
いわばそうした状況をコストとして将来支払うのを約束することで、ショップは商品を安く提供しているわけです。そのようなコストを支払って割り引いてもらうことが、はたして「いい」のかどうかは個々人の価値観によります。
さらに長期的な観点からは、そうした手法のショップを利用することで「この手法は有用である」と世間に認知させる一端を担うのであり、「この手法は嫌いだけど安いから買う」という場合には、自分の首を絞めてしまっている可能性が潜んでいます。
PCを含めた機械の分野では、昨今AIの話題が持ち上がることがあります。その際に煽られる不安は、「仕事をAIに奪われる」というものです。PCを使用するというのは、機械の有用性・利便性を認める行為です。そうした意味では「機械はいい」と行動で表していることになります。
さらに巨視的には、そうした「AIが仕事を奪う」という議論が正しいかどうか、そもそも正しく行われているかどうか、しっかりと情報を集めて考えなくてはいけないはずです。
ミクロなひとつの「いい」は、マクロなひとつの「いい」には敵いません。商品を購入する際に利益を最大化し損失を最小化するには、様々な要素を見なければいけません。その観察と思考を怠らない人のみが、その恩恵にあずかることができるものでしょう。
「いい」ものを活用できるかどうか
またいいものを入手できたとしても、それを活用できるかは別の問題です。高性能なPCを使えるようになっても、たとえば仕事が忙しいという理由などでゲームをプレイするような状況になければ、宝の持ち腐れに過ぎません。
そうした見方からは、資金は豊富でも仕事にかける時間が長い人より、学生でもゲームにかける時間が圧倒的に長い人のほうが、高性能なゲーミングPCを利用するに値する人かもしれません(社会通念として学生が勉学ではなく遊びにかまけるのがいいかは別として)。
女性にとって一種の幸せとは、地位のある男性と結婚することとは限らず、むしろ地位や名声はなくともいつでも傍にいて理解してくれる男性と一緒になることかもしれない、というのと同様です。
男性においても、仕事が人生の最重要課題なのか、楽しみを享受することが大切なのか、しっかりと自分を見つめる必要があります。
それだけに留まらず、「しっかりと性能を引き出せる」という使用者も、なんとなく使っている人より深く理解しているといえます。
高性能なグラフィックボードを使用しているなら、やはり高負荷なゲームやVRゲームなどをプレイするほうが「活用」しているといえるでしょう。
しかしこの活用という観点も万能とはいえず、高性能なPCを活用するためにわざわざ高負荷なゲームをプレイするというのは本末転倒です。高性能なPCは手段に過ぎず、それを活用することが目的となることは荒唐無稽です。
適切に感じられる活用法は、「その製品を次に買い替えるまでに最大限利用する」ということですが、「最大限」の解釈を誤ればマイニングやエンコーディングのようにただただ演算処理を続けるだけの使用法が最適とすら考えかねません。
この視点はいわゆる「ブラック企業」のようなものです。我々はコンピュータを使用・使役していますが、ブラック企業で働かせすぎた挙句、自殺してしまうような「酷使」をするのが本望ではないはずです。
現状、PCくらいの機械ではSFのような自我をもったAIマシンは実現できません(認識できる限りでは)。そうした点において、酷使がどうのと考えるのはやや主観的に過ぎるのかもしれません。
しかし「どのように活用するか」を考えることは無駄ではないはずです。
こうした観点について、筆者は明確な答えを用意していません。筆者が用意した答えが万能であるはずがなく、それぞれの人が抱く答えがあって然るべきです。十人十色であって当然です。もちろん押しつけるつもりもありません。
やや抽象的な話になってしまいましたが、こうした考え方を続けることで、ただ浪費を続けるだけではない視点をもつこともできるかもしれません。
どんな性能のPCが合っている?
やや観念的なお話をしてしまいましたが、次は実利的なテーマになります。これまで「ほしい性能は目的から算出される」ということで、目的について見直してきました。それではその目的から、どんな性能が具体的に算出されてくるのでしょうか?
PCについて考える場合、PC内の各パーツについて実利的に詳細に考察する必要があります。
PCを構成するパーツには、主にCPU・マザーボード・グラフィックボード・ストレージ(HDDやSSD)・電源ユニット・CPUファン・PCケースなどが挙げられます。さらにI/OデバイスをPCと使用者の仲立ちたる機器として挙げることもできます。
また各パーツの選び方としてやはり、「目的を達成できるギリギリの性能」を選ぶのではなく、やや大きめに余裕をもって選ぶほうが「予想よりパワーが出なくて目的達成が中途半端になってしまう」という失敗を防ぎやすくなるでしょう。
どんなCPUを選ぶ?
CPUはまずIntel製とAMD製の2種類があります。このサイトでは安さやコスパよりも性能を重視しているので、CPUでもシェアが強いIntel製の高性能なCPUを基本的には推奨します。
CPUの基礎知識
CPUは正方形の精密機械で、マザーボードのCPUソケットに設置することで使用できます。
Intel製のCPUは名称が「Core i5-8400」のようになっており、選ぶ際には「i5」のような「i〇」の箇所と、「8400」のような数字に留意する必要があります。
前者の「i〇」にはi3・i5・i7などがあり、ナンバリングのようなもので数字が大きいほうが性能は高くなる傾向にある(絶対ではありません)と考えてください。
後者の4桁の数字は、「8400」ならば頭の「8」に注目してください。これがCPUの世代を意味します。
4桁の数字が意味する世代は、新しいものほど高性能になります。また世代が違うCPUはマザーボードと接続する「ソケット」の形状が異なります。
たとえば「Core i3-4170」のような4世代めから「Core i7-8700K」のような8世代めにCPUを交換する場合、i3-4170とi7-8700Kではソケットの形状が異なるためにマザーボードも変えないといけなくなります。
ソケットの形状には「LGA1151」など名称がありますので、気になる方は調べるのも良いかもしれません。
CPUを換装する際は、「マザーボードを変えないようにするためソケットの形状が同じCPUから選ぶ」のか、「CPUを大幅に変えるためにマザーボードも一緒に変える」のかを、あらかじめ考えておかなければなりません。
なお全てのパーツを新調してPCを自作する場合は、小難しいことは考えずにただCPUとマザーボードがしっかり接続できる規格かを確認していれば問題ありません。
どのCPUが目的に適合しているか
では目的に合わせて、実際にIntel製CPUを選んでみましょう。
ネットブラウジングをする程度ならば、i3やi5でも大丈夫かもしれません。費用を安く抑えたいならば動画の視聴も控えれば、メモリを多く搭載してCPUはi3にするなどの応用もできます。
ゲームをプレイする場合、暇つぶし程度ならi5を、多少でも本格的なゲームを動作させる可能性があるならi7が良いでしょう。Minecraftよりも軽いゲーム、RPGツクールやFLASHゲームのようなものをプレイする場合などはi3でも可能な場合が想定できますが、「予想以上にパワーが出ない」という可能性を考慮するとやや厳しい選択になります。
ローエンド、ミドルクラス、ハイエンドという分類であれば、i3はローエンド、i5がミドルクラス、i7がハイエンドと認識するくらいで良いでしょう。3Dのゲームをプレイしつつラグやフレーム落ち、フリーズなどを発生させたくないのであればi7にするべきです。そうしたパフォーマンス低下を許容できるのであれば、i5でも問題ないでしょう。細かい状況はゲームによって変わるので、軽いゲームでない限りはi7が推奨されます。
現在さらに高性能なi9が販売されていますが、オーバースペックなので基本的に考慮する必要性はありません。
世代はなるべく新しいほうがいいのですが、8世代めのCPUに対応したマザーボードは、7・6世代のCPUに対応していません。筆者は8世代めのCPU・マザーボードが世間に流通し切る前に、故障も含めてCPU・マザーボードを変える可能性があると考えて、7世代めの「i7-7700K」を購入しました。
自作をする場合は、このように「ソケットの形状」まで考慮に入れなければいけませんが、既製品やBTOだと気にしなくていいのはありがたいでしょう。
どんなメモリを選ぶ?
メモリは横長のカード型をしており、マザーボードに直接挿入することで使用できます。
メモリは主記憶装置として使われ、いわゆるHDDやSSDのようなストレージ(補助記憶装置)と同様に「MB(メガバイト)」「GB(ギガバイト)」で容量が表示されます(GBはMBの約1000倍)。
また512MB、1GB、2GB、4GB、8GBというふうに、2の累乗(前の数字に2を掛けていく)でアップグレードする形となります。
メモリを挿すスロットはマザーボードによって数が決まっており、使用できるメモリのタイプもマザーボードによって変わります。
スロット数は多いほうが拡張性が高く、たとえば8GBのメモリを使用したいとき「8GB×1枚」と「4GB×2枚」はおよそ同程度の性能となります(厳密には異なりますがここでは無視します)。
メモリの種類は、「DIMM DDR3」というふうに表記されます。「DIMM」や「S.O.DIMM」がインターフェースを表し、「DDR3」や「DDR4」などがメモリの規格を表しています。
インターフェースは「DIMM」がデスクトップ用、「S.O.DIMM」がノート用を意味します。
規格においては2018年現在DDR4が最新規格で、マザーボードでもこの規格が共通しているため、DDR3対応のマザーボードではDDR4などは使用できません。
メモリは「作業台」に譬えられ、PCがスムーズに処理を行えるようにサポートします。ですのでメモリは質よりも量が重視されるパーツで、単純に容量が大きいほど高性能を意味します。
OSなどの基礎的な動作にもメモリは使用されるため、メモリ量が少ないとブラウザやゲームを起動するまでもなく動作が重くなります。そのため重いソフトを利用するには、余裕を大幅にもっておくことが推奨されます。
「100ℓを計測する作業」を行う際、「100mℓの容量の小さいビーカーを使う」のと「10ℓの容量の大きいポリンタクを使う」のとでは、後者のほうが圧倒的に楽なのと似ています。
今すぐにあまりお金をかけずにゲームのパフォーマンスを向上させ(かつPCの性能を改善させ)たいなら、おそらくメモリを増設するのが一番手軽でしょう。容量にもよりますが安価な製品ですと数千円で購入できます。間違えずに製品を選ぶのには知識がやはり必要ですが、さほど難しくない部類のパーツです。
「どれくらいの容量にすべきか」に対するおおよその相場として、Windows 10など新しいOSを使用しているのであれば、最低限4GBはないとOSにメモリを食われて他のソフトを起動するどころではありません。8GBでやっとマルチタスクができる程度でしょう。ゲームをプレイするなら16GBほしいところで、32GBあれば基本的にメモリについて悩むことはなくなります。
どんなグラフィックボードを選ぼう?
さて、問題のグラフィックボードです。当サイトはゲーミング目的でオススメのグラフィックボードを紹介し、その情報をまとめているサイトです。
細かくまとめるとこのページの文章量がさらに増えてしまうので、これまでのエントリや他のエントリにスペースを譲ります。
なお当サイトでは「性能重視」でグラフィックボードをオススメしているため、「GeForce GTX 1080」をオススメしています。
ストレージはどれにしよう?
ストレージは「倉庫」という意味の通り、実質的にデータを保存しておくパーツになります。ハードディスクドライブ(HDD)といえばPCを使用したことのある人には伝わりやすいでしょう。
同じストレージでHDDより高速な「SSD」というものもありますので、ここで並べて説明いたします。
HDDはどんなのにしよう?
HDDは、片手の掌よりやや大きいくらいの長方形の機械です。少し厚みもあります。
PCのパーツのなかでもっとも簡単なパーツといってもいいでしょう。難しいことは考えなくて構いません、「大は小を兼ねる」の精神で、ただただ容量を大きくすれば大丈夫です。もちろん限度はありますが、自分のPCの使い方と予算によっておおまかに決めて構いません。
2018年現在、1万円以下で4TBあたりまでのHDDを購入することができます。TB(テラバイト)はGB(ギガバイト)のおよそ1000倍で、GB(ギガバイト)はMB(メガバイト)のおよそ1000倍です。
筆者はPCを中心とした生活を送っているため、TB単位のHDDを使用しています。筆者のようにSteamのゲームをアンインストールせずにいくつかHDDに保存しようとしている人は、大容量のHDDを1つは使用しておくと良いでしょう。
HDDの種類は容量の他、キャッシュやインターフェース、消費電力などがありますが、あまり頓着せずとも問題ありません。唯一「3.5インチ」「2.5インチ」などのサイズの違いがありますので、これにだけ注意しておいてください。
使用方法としては「内蔵」「外付け」があります。
内蔵HDDはPCケースのなかに直接ケーブルで接続する形式で、PCを使用する際に常時HDDも稼働させる方法です。
外付けの形式にはさらに二分することができ、「外付けHDD」として市販されている製品を購入・使用する方法と、HDDケースを購入することで内蔵HDDを「外付け化」する方法があります。前者の市販されている外付けHDDのほうがやや割高ですが知識を必要としませんので、気楽に使える方法で選んで構いません。
「HDDにどれくらい容量を確保しておくのがいいか」という相場は、あまりPCを使わない人であれば1TB以下でまったく問題ありません。場合によっては500GBでも充分なことがあります。
一般的には2TBもあればデータを保存するには事足りるでしょう。
ただし近年10GB単位の容量を占有するゲームが当たり前のように登場してきている(FFXVでは100GB以上の空きが推奨されています)ため、なるべく長期的に利用する容量を予測することが推奨されます。
ただしメモリ以上に増設が簡単なので、あまり頓着しなくても随時HDDを増やしていけば問題ありません。
基本的には4TBなどは必要ないと想定されますが、さほど高価でもないので、後で増設するよりも手間を省いて数TB容易しておくのも良いでしょう。
SSDについてはどうしよう?
SSDはHDDと同様にデータを保存するストレージですが、HDDと比較するとより高速で、かつ寿命が短いとされています。SSDはデータを読み書きする回数に限界があり、使用頻度によってこの限界が早まるとされています。
使用頻度を下げれば寿命は長くなるのですが、そもそも日常的なPCの使用を高速化するためにSSDを使うので、やや本末転倒な考え方となってしまいます。
形状は片手の掌ぐらいの大きさで、HDDよりもずっと小さく薄くなっています。
容量はHDDよりやはり少なめで、数百GBのものが多く販売されています。1TB以上のSSDも販売されていますが、そこまでの大容量は高価にもなるので必要ありません。
HDDのようにSSDも外付けにできますが、主流は内蔵としてPCケース内に直接設置する方法です。
使用方法は、OSのデータがインストールされているCドライブに設定するのが主になります。SSDの使用目的は「高速化」ですので、PCを動作させる基礎データであるOSを高速化することで、PC全体の機能を向上させます。
またSSDを高速化用、HDDを大容量の一般的データ用として使い分けることで、SSDの寿命をやや考慮しつつ効果的にデータを保存することができます。
よく使用するソフトなどはSSDに保存しておくと高速化できるため、ブラウザやよくプレイするゲームはCドライブに設定したSSDにインストールすると良いでしょう。高速化する必要のないゲームなどはHDDで充分です。
League of LegendsやPUBG、OverwatchなどのPVPゲームは人によっては日常的にプレイするので、やはりSSDにインストールすることが推奨されます。
SSDにゲームをインストールする際、常に問題になるのは「容量」です。現在は技術の向上もあり大容量化が進んできたSSDですが、様々なソフト・アプリケーションを同時にインストールしていると、数百GBは意外とすぐに満たされてしまいます。
そうしたときには優先度の低いものからHDDへインストールし直すことでSSDの空き容量を確保できます。しかし前述のFFXVのように数十GB以上のデータを使用するソフトがあると、空き容量のやりくりが難しくなります。
SSDの空き容量を増やす工夫は世間に広く知識として共有されているので、気になる方は調べてみるのも良いでしょう。
「どれくらいSSDの容量を確保しておくと良いか」という相場は、基本的に500GBもあれば充分です。筆者は250GB程度のものを使いまわしていますが、空き容量のやりくりがやや厳しい状況です。筆者が現在のスペック改善を試みるならSSDが優先的な候補となる状態です。
100GB程度の製品もありますが、OSのデータ占有でかなり苦しくなると想定されます。
200GBでは余裕が増えますが、ゲームやデータ量の多いソフトをインストールすると厳しくなるでしょう。
市場相場として1万円以下でおよそ100~250GBの製品が選択肢にのぼるので、ゲームやソフトの使用状況と予算を考えて容量を見てみると良いでしょう。
マザーボードはどんなものを選べばいい?
マザーボードは多くの人が見たことのあるような「基盤」であり、他の様々なパーツを接続する「神経」のようなパーツです。
PCの性能を直接的に上げるような効果はないのですが、それぞれのマザーボード製品によって対応しているパーツ・対応していないパーツがあるため、各パーツ製品の適用・不適用を左右することになります。
いわば高機能な臓器を自分に移植しようとしたところで、血液型などで拒絶反応が起こるようなものです。マザーボードと各パーツは、規格によって接続できるか否かが事前にハッキリとわかるようになっていますので、この確認を怠らないようにしましょう。
「ATX」などサイズを表す規格があり、これはPCケースの規格としても共通します。拡張性という点では大きいほうに分がありますので、こだわりがない限りは大きいサイズを選ぶようにしましょう。
どんな電源ユニットを選ぶべき?
次いで電源ユニットを選ぶ段階です。電源ユニットはやや高さのない平ための立方体の機械で、コンセントとマザーボードに接続して他のパーツに電力を供給します。電源容量はW(ワット)で表示されます。
電力を供給するということは、人間でいえば口や胃のようなものです。胃が小さすぎると食事が滞って痩せ細るようなもので、適切な性能がなければ電力をしっかり供給できず、PCを起動できなくなることもあります。
やはり基本的な思考は変わらず、「大は小を兼ねる」を踏まえてW数を増やすことが推奨されます。他のパーツは消費電力量がスペックとして明記されているものが多いので、それを足し算することで概算できます。できればさらに50~100Wくらい余裕をもたせておくと良いでしょう。
PCケースはどうしよう?
PCケースは各パーツを収め、防護する役割を担います。初心者の方は絶対に用意しましょう。
マザーボードの項目で述べたように、サイズを表す規格があります。小さいものほど専門性が高く複雑になり難しくもなるので、なるべく大きめを、もしくはATXなどの一般的なサイズを選びましょう。
I/Oデバイスはどうしよう?
「I/Oデバイス」という名称に戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、どうということはありません、マウスやキーボードのことです。「I/O」とはインプットとアウトプットの略で「入出力」を指します(英語では「w/」という表記で「with」を指し、「w/o」で「without」を指すなどスラッシュを使ったスラングがあります)。
この場合の入出力はPCを中心とし、マウスやキーボードがPCに入力する装置、モニターやイヤホンがPCから出力される装置になります。
マウスの選び方
ご存知の通り、マウスはPCにおいてポインタを動かしてクリックなどで指示を与える機器です。
一般的な使用法であれば、選び方は有線・無線などが主になるでしょう。またどのようにマウスの移動を感知するかという区分もあり、光学式やレーザー、LEDなどで選ぶことができ、マウスの精度に影響してきます。
価格も数百円のものから1万円超のものまで様々あり、お好きなものを選んで構いません。
ゲーミングマウスとしてはサイドボタンなどが加えられているものがありますが、現在ではブラウザの「進む」「戻る」がこのサイドボタンに対応させられていることもあり、一般的なマウスとしても流通しています。
メーカーでは「Logicool(ロジクール)」や「Razer(レーザー)」などが有名です。
「dpi」は高いほうが優秀とされていますが、好みで構いません。
PCでゲームをするのとコンシューマの据え置き型ハードでゲームをするのとでは、FPSで銃などを使って照準を合わせる行為においてもっとも大きく違いが生じるといえます。使用感については様々な意見がありますが、筆者は圧倒的にPCでマウスを使うほうが正確に照準を合わせられると認識しています(多くがコントローラの使用者に忖度し、「人それぞれ」という考えを拡大解釈したものだと考えています。これは私見で、やや「口うるさいラーメン屋のおやじ」みたいなものなので無視しておいて構いません)。コントローラを好む人は、使用感や使いやすさを含めて「好み」で選ぶことを推奨します(こうした好みにおいて他人の意見を気にすることはありません)。
いずれにせよそうした点では、マウスはゲームの視点移動・照準などを制御する機器であり、使用者の技術も然ることながら、基本的には精度の高いマウスを使用することが推奨されます。
接続端子はUSBなど一般的なものであり楽ですし、性能を上げるのに知識も不要です。
キーボードの選び方
キーボードは文字情報をインプットする機器です。誰でも知っていますね。
一般的な使用法であれば、単純に文字を入力して正確に認識される代物であればどの製品でも問題ありません。もちろん安価なもので構いません。
キーの構造などでタイピングの感覚が変わるので、こだわるのも一興でしょう。
マウスと同様、千円以下のものから数万円のものまであります。
ゲーミングキーボードとしては、FPSゲームなどが移動で「WASD」キーを採用しており、武器を選んだりスキルを使用したりするのに各種キーが使用されることから、キーの複数同時認識に対応している数が多いほどスムーズにゲームを進行できます。
マウスと同様に一番身近なPC機器でありながら雑に扱われる傾向にあり、使用中に飲み物をこぼして壊されることがあります(筆者も経験済みです)。予備で安価なキーボードやマウスを用意しておくと、いざというときに「新しいものが届くまでPCをまともに使用できない」という期間を減らせるので、対策として所持しておくと重宝します。
モニターの選び方
モニターはディスプレイとも呼ばれ、PCが処理した映像を使用者にわかるようにアウトプットする機器です。当たり前のように使用しますが、PCの視覚的なアウトプットを一手に担う極めて重要な機器です。モニターがなにも移さなくなったときのことを考えると、その重要性がわかります。
他のI/Oデバイスと比べると、高価になりがちです。場合によっては液晶TVをモニターとして併用することもできるので考慮してみるのもいいかもしれません。
一般的な使用であれば、あまりこだわる要素はありません。CPUなどの性能に応じて適度で高価すぎないモニターを選ぶと良いでしょう。4Kを望むなら、4K対応のマザーボードもしくはグラフィックボードが必要になります。
ゲーミング用途としては、リフレッシュレート・表示色・応答速度・フリッカーフリーなどの様々な機能がありますが、あまりこだわりすぎると高価になりますので、グラフィックボードの性能に合わせてほどほどのモニターしておきましょう。
モニターはマザーボード、もしくはグラフィックボードに接続します(グラフィックボードは直接マザーボードに接続するので、最終的にはマザーボードに繋がります)。ゲームをプレイしないPCの場合はマザーボードに接続すればいいのですが、この際は相応に映像関連の性能が限定されます。グラフィックボードなしで拡張したい場合は、オンボード(グラフィックボード相当の機能がマザーボード搭載された製品)を使うことでいくらか対処できます。
ゲームをプレイする際は、基本的にグラフィックボードなしではまともに動作しないものと考えてください。PC自作のお遊びとして「グラボなしでどこまでゲームを動かせるか」という実験をする以外に価値はありません。
どのようにモニターを使用したいか(4Kかつ144Hzで使用したいなど)という目的は、グラフィックボードの性能に如実に影響を受けます。モニターだけ高価なものを用意しても宝の持ち腐れになります。
なお高性能なモニターを1つ使用するのも方法のひとつですが、しっかりとした性能のPCを使用している(使用するつもり)なら、デュアルモニタなどマルチモニタ化を考慮してみてはいかがでしょうか。2つのモニターを並列して1つの画面のように使用する方法で、メインモニタでゲームを起動したままサブモニタでブラウザを使用したり動画を閲覧したりするということも容易になります。
筆者はデュアルモニタで、片方がTVとしても使用できるようにしてあります。
イヤホン・ヘッドホンの選び方
モニターが映像を出力する機器ならば、イヤホンやヘッドホンは音声を出力する機器です。こちらもこだわりがなければ安価なもので問題ありません。むしろゲームをプレイしたりしないのであれば、モニターで音声を出力する方法でも構わないので、イヤホンもヘッドホンも必要ないことがあるでしょう。
ゲームをプレイする際は、なるべくイヤホンかヘッドホンを使用するようにしてください。特にPVPなどの対人ゲームなどでは敵がどの方向にいるかを音で判断できることが少なくないので、重要な要素のひとつとされます。数百円のイヤホンでも良いので、部屋に音を散乱させずに直接耳に流すほうが聞きやすくなります。
ゲーミングヘッドホンやゲーミングヘッドセットなど音質にこだわったものがありますが、基本的に好みの領域です。数万円する製品もあり、「他のパーツより優先すべきかどうか」という命題にはやや懐疑的です。
もちろんゲーム以外に音楽を聞く際にも重要な点にはなるので、高価なものを選んでも問題ありません。
マイクの選び方
他のI/Oデバイスに比べると、マイクは優先順位が低くなります。理由としては「声によるコミュニケーションがまったく不必要な場合がある」からです。そもそも「会話したくない」という気持ちがあれば会話する必要はありません。
一般的なマイクの用法としては、skypeなどでの無料通話が挙げられます。その他にはYouTubeなどで動画を投稿する際などに声を録音するために使うことがありますが、一般的用法からは少し離れた使い方でしょう。
ゲーミング用途としては、ボイスチャットが第一に挙げられます。PVPゲームなどでチームメイトと協力するときには、特に海外では頻繁に使われる用法です。
ですがこうした用法は絶対ではありませんので、ボイスチャットをしないプレイスタイルも当然ながら容認されています(筆者も基本的にはボイスチャットを使用しません)。
YouTubeでの動画投稿と同様の使い方として、いわゆる「実況」を録画・配信する際に同時に音声を流すためにマイクが使用されることもあります。デジタルネイティブ世代などでは実況ならびに動画サイトの存在が一般的だと認知されているため、この用法も挙げることができますが、それでもやはりPC使用者全体を見ると主要とは言いにくいものでしょう。
予算はいくら?
それでは続いて、「予算」について考えてみましょう。今回はPCを購入し入手するという基本目的のもとに、色々な用途をもった方を想定して考えてきています。
当サイトの主旨である「ゲーミング目的」「グラフィックボードの紹介」という見解は、今は抑えておきましょう。
基本的なパーツ選びの考え方
基本思考は「①パーツはすべて新調する」、「②基本パーツから揃える」、「③予算に余裕があれば主要パーツを充実させる」です。予算があまりに少ないときは例外がありますが、予算が充分なときは基本思考に従います。
②と③は合わせて「バランスを重視する」と理解していただくと、全体的なパーツの選び方がわかりやすくなるかと思います。
予算の使い方とは別ですが、補助的な考え方として「④メモリ・ストレージなどの増強を図るべく、組み立てた後も随時予算の追加を検討する」「⑤互換性を重視する」というのもあります。
「①パーツはすべて新調する」に関しては、今回は初心者の方向け、それも場合によってはPCを触ったことすらない方に向けて情報をまとめているため、中古パーツは動作保証がないので利用せず新しく買うようにしたほうがいいとの考えからです。またサポートが大切ですのでノーブランド製品なども避けてください。同様に別のPCから購入済みパーツを転用する考えも除外しています。量販店やネットショップで未開封の新品を購入することを想定したものです。
「②基本パーツから揃える」において、「基本パーツ」とはPCを起動させるのに最低限必要なパーツを指し、「CPU・マザーボード・ストレージ・メモリ・電源ユニット・PCケース(・CPUファン)」を意味します。CPUファンは、CPU購入時に付属される空冷ファンで大丈夫です。PCケースについても、初心者の方は根拠を後回しにしてとにかく必要なものと理解しておいてください。
「③予算に余裕があれば主要パーツを充実させる」において、「主要パーツ」とはPCの性能を如実に向上させることのできるパーツで、CPU・グラフィックボードを指します。演算処理をする装置なのでとても大切です。場合によっては演算をサポートするメモリもここに加えられるでしょう。
「基本パーツ」ならびに「主要パーツ」という呼称は特に一般的なものでなく、このエントリでわかりやすく説明するためだけの用語です。
「④メモリ・ストレージなどの増強を図るべく、組み立てた後も随時予算の追加を検討する」は、『「将来絶対に高負荷なソフトを使用しない」と断言できる?』にて前述した「PCのパーツには増設が容易なものと交換が難しいものがある」という特徴を反映させています。比較的容易に増設できるのがメモリやストレージです。そのため追加で性能アップを図る予算が見込めるなら、そちらに投資しましょうという提案です。
「⑤互換性を重視する」とは、失敗したり故障したりしたときのために、交換しやすさをあらかじめ確認しておく、ということです。同様に、市場に多く出回っている規格のものを選ぶようにする、ということでもあります。
料理をする際に、ヨーロッパやロシア、中東のような遠い場所の食べ物を材料とするより、単純に日本国産のもののほうが手に入りやすく扱いやすい、というのと似ています。
またPCの使用目的・方法は、便宜的に「一般用途」と「ゲーミング用途」にわけます。
ゲームをプレイする際は高価なグラフィックボードが重要となり、そうでないときは重視されないので、予算の使い方が大きく変わるからです。
そのため一般用途では「ゲームはまったくプレイしない」ことを定義とします。
なお予算の低い順に並べていますが、「1万円以下」というのは単なる「可能性の示唆」に過ぎない極端な例外なので、読み飛ばしていただいて構いません。
1万円以下の場合
予算の低い順に考えていきますが、最初は1万円です。最初が最大の難点ですね……。
1万円以下でPCを入手するというのはある種のロマンがありますが、この予算帯は「自作PC」以外では通用しないでしょう。自作PCでも「いかに1万円以下でPCを構築するか」また「いかに1万円以下で最高性能と呼べるPC構成を考えるか」という実験が遊びで成立するぐらいです。ネットブラウジングも厳しい状況が想定されます。
前提として提示した「①パーツはすべて新調する」を踏まえた上で、この予算帯でPC構築を実現させたいなら、まず全てのパーツにおいてローエンド以下の最低性能を目安にしてください。またグラフィックボードやSSDなどの「基礎性能としてではなく補助的に性能を向上させるための(ときには不要な)パーツ」は視野に入れることはできないでしょう。つまり「基本パーツ」のみで構成し、CPU・マザーボード・HDD・電源ユニット・(リテール品のCPUファン)などを最低価格で選ぶくらいになります。
YouTubeでこのような「予算1万円でゲーミングPCを自作する」というテーマの動画を閲覧すると、ときおり「あらかじめPCの予備パーツがあり、残りのパーツを予算1万で補う」というような主旨のものがあります。予備のパーツがある状況は、ここでは「予算1万円」の定義から外れます。
しかし現実的には、「1万円以下」で「①パーツはすべて新調する」という前提を成立させることは、ほぼ不可能でしょう。他のPCからI/Oデバイスの転用を許容して、なんとか実現可能かどうかという程度です。「基本パーツ」もいくつか転用可能とすれば、飛躍的に楽になります。もちろん中古やネットオークションを利用すればさらに楽になるでしょう。
「1万円以下」でPCを構築することは、自作PCの知識・経験が豊富であればなんら不可能なことではありません。しかし結局のところお遊びのレベルでしょう。
予備パーツを転用したり、中古やネットオークションで格安パーツを調達したりするのは、PC自作では常套手段です。テーマとして「初心者向け」が大前提ですので、今回は除外しました。
いずれにせよ「1万円以下」という予算は現実的な選択肢ではないことを熟知しておいてください。
3万円以下の場合
「1万円以下」という予算はPC構築では現実的でないと述べましたが、3万円ならどうなのでしょうか。
こちらも実現不可能ではありませんが、現在PCで行われている主要な行為は、やはり基本的には難しい予算帯です。
やはりミドルクラスのパーツを使用することは難しく、ローエンドのパーツのみで組むことになるでしょう。
たとえば「子供にPCとはどんなものであるかを知ってもらうため実物を日常的に触らせる機会を与える」という目的であれば充分だといえます。しかしおそらくMinecraftでも動作が厳しいと予想されます。
筆者は現在のメインPCを自作する以前、それまで使用していたデスクトップがブルースクリーンを表示して故障してしまったため、緊急で量販店へ赴き安いノートを4万円ほどで購入しました。ネットブラウジングもかなり厳しいPCでした。ゲームはもってのほかです。
同じ予算でもデスクトップを自作するなら、やや性能の低さは軽減されるかもしれません。
CPUとメモリに重きを置いて他のパーツを極力安くするなど、「主要パーツ」に予算を集中させることである程度の改善は見込めるかもしれません。しかしネットブラウジングが少し楽になる程度の向上しか見込めないでしょう。
ネットブラウジングも厳しい予算帯なので、重くて使うのを敬遠するうちにやがてそのPC自体を使用しなくなる可能性があります。
具体的には、CPUはi3ですら厳しいので、前世代の「Celeron」「Pentium」などを選ぶことになるでしょうか。グラフィックボードは諦めたほうが賢明です。
とにかく起動を安定させたいので、基本パーツに注力する方向性で考えをまとめるのが妥当です。
なおパーツの選ぶ際は、「⑤互換性を重視する」を忘れないようにしましょう。安くても古い製品であれば、規格が合致しないことがあります。マザーボードの項目でも述べましたが、PCを自作するときには規格の確認がとても大事です。
5万円以下の場合
一般的な用途としてちゃんと「使える」PCを用意するには、おそらくこの5万円くらいの予算は必要でしょう。
ほんの少し余裕ができるので、これまでの「基本パーツ」のみではなく、安価な製品であればグラフィックボード・SSD・I/Oデバイスも視野に入れることができる予算帯です。
この予算帯ならば量販店などの既製品も販売されているはずですが、やはり性能は高いとはとても言えないレベルで、自作するほうが改善できる可能性があります。
なお一部をミドルクラスに格上げできる程度で、全体的にローエンドのパーツを使うことになるでしょう。
これまでと同様、予算を注力するのは主要パーツ、特にCPU・メモリであるのに変わりはありません。この予算帯であればメモリは8GBあれば充分でしょう。16GBにするとやや他のパーツへの予算を圧迫します。
ゲームをプレイしたいならばグラフィックボードは設置すべきですが、CPUも疎かにはできません。基本パーツと主要パーツのバランスを重視しましょう。グラフィックボードを諦めてCPUに投資する場合は、ネットブラウジングくらいならやや不満が残る程度で、日常的に使用することができるかもしれません。
この予算帯あたりから基本パーツと主要パーツを比較する考え方ができます。「基本パーツ:主要パーツ」を予算全体で考えてみる方法です。この5万円という予算では、「2万円:3万円」にするか「3万円:2万円」にするかという分け方です。
「2万円:3万円」では、主要パーツとしてCPU・グラフィックボードの両立が楽になる分、基本パーツを蔑ろにするのでPC全体の動作が不安定になる可能性があります。
「3万円:2万円」では、CPU・グラフィックボードの両立が難しくなる分、基本パーツが安定するためいくらか使いやすいPCになると考えられます。
具体的には、CPUはi3がやはり限度でしょう。グラフィックボードも前世代の1万円以下の「GeForce GT 710」「GeForce GT 1030」などになるでしょうか。やはり主要パーツであるCPUとグラフィックボードに合計でいくら投資するかが基準になります。
もし予算が後々にでも増やせそうなら、HDDの増強を図るのも良いかもしれません。
まだこの段階では、とても予算が潤沢とはいえません。基礎たる「基本パーツ」に充分な費用を回せない予算帯は、現実的には「厳しい」レベルなのです。
8万円以下の場合
この「8万円」という予算帯から、落ち着いて「PCの性能を上げる」という視点で考えることができるようになります。これまでは「使用する上でどのように不満を抑えるか」という視点でした。
これまではローエンド製品を中心とした組み合わせでしたが、ここからはミドルクラスを中心にすることができるでしょう。一部をローエンドにすることで他方に予算を回してハイエンド製品を使うこともできるかもしれません。
基礎的な構成は、すべてのパーツをミドルクラスの中程度のもので揃えることになります。
基本パーツをいくらに抑えるかで、主要パーツにどれくらい予算を回せるかが変動します。以前と同様に「基本パーツ:主要パーツ」の比率で考え、「5万:3万」にすれば全体的にミドルクラスで揃え、「6万:2万」にすれば演算(CPU・グラボ)特化型にすることができるでしょう。
「6万:2万」の振り分けで演算特化型にするのは魅力的ですが、基本パーツのストレージ・メモリを疎かにすると運用が難しくなりますし、電源ユニット・PCファンを低質なものにするとPCが起動しない可能性もあります。あくまでバランスを重視し、基本パーツの性能は確保しておいてください。
しかしPCの全体的な動作を安定させるためには、やはり「②基本パーツから揃える」という基本思考に従うほうをオススメします。
ですので一般的な用途であれば、「5万:3万」の振り分け方で全体的な性能の底上げを図りましょう。ゲームをしなくても高負荷なソフトを使用するのであれば主要パーツへの投資を行うことになります。ネットブラウジングや動画再生くらいであれば、メモリを16GBにすることでPC全体の稼働をスムーズにさせることができるので、CPU・グラフィックボードはその後にするのも良いでしょう。
なお一般使用であれば、このあたりから既製品やBTOで購入するのも検討できるかもしれません。
グラフィックボードは低質なものに限られ、むしろオンボードグラフィックとしての「Intel HD Graphics」などが主になるでしょう。
主要パーツであるCPU・メモリを高性能にしておくと使いやすくなるでしょう。
ゲームをプレイする場合、ミドルクラス低価格のグラフィックボード「GTX 1050」でもPUBGなどの動作検証がありますので、メモリを最低8GB以上に充実させた上で、CPUと一緒に性能を上げることで3Dゲームもプレイできるようになるでしょう。
なお「④メモリ・ストレージなどの増強を図るべく、組み立てた後も随時予算の追加を検討する」という考えは、この予算帯でも健在です。
10万円以下の場合
大台のライン、10万円が見えてきました。10万円の予算があるなら、この際ローエンドのパーツを使用する考え方は捨てましょう。フルコースの料理にカップ麺があるようなもので、アンバランスです。
この予算帯ですと、3Dゲームや高負荷なソフトを利用しない一般的なネットブラウジング・動画再生くらいの用途では、ややオーバースペック気味になるかもしれません。PCの使用頻度に合わせて、逆に予算を減らすことを考えて良いかもしれません。
「8万円以下」では基本パーツと主要パーツの比率を考えましたが、10万円近く予算があるなら基本パーツに3~4万円程度わけるくらいで充分です。そもそも基本パーツのマザーボード・電源ユニット・PCケースにはそれぞれ数千円かければ充分です。基本パーツは価格が難点なのではなく、マザーボードを中心とした入り組んだ「接続規格」が難しいので、ここからは基本パーツの費用で悩むことはありません。
そのため主要パーツであるCPU・グラフィックボード・メモリに予算の半分以上を割いたほうが性能の向上を見込めます。
新しい世代のi7など高性能なCPUを選ぶと、熱暴走の危険性が上がるので、CPUファンの性能を上げるべく空冷から水冷に変えるなどの投資も考慮しましょう。
なおグラフィックボードは「GTX 1070(およそ4~8万円)」などの高性能なものを選ぶと、やはりまだ予算の大半を占有してしまうので、「GTX 1060(およそ3~5万円)」に抑えておくのが賢明でしょう。
それに合わせてCPUも2~4万円を予算として、i5だけでなくi7を視野に入れることができる場合があります。
つまり主要パーツのなかでさらに予算を分割する考え方です。「CPU:グラフィックボード」で、たとえば6万円なら「2万円:4万円」「3万円:3万円」「4万円:2万円」のどれにするか、というものです。
VRゲームをプレイすることも視野に入れられますが、やや不安定な状態になるかもしれません。
なおメモリは、もう基本パーツの側の予算でやりくりできる予算帯です。
このあたりになると、メインストレージであるOSがインストールされたCドライブには、高速化を図るためSSDを組み込むことを考えたいものです。メインSSDとサブHDDで1万5千円ほどかければ、基本的な使用には充分耐えうるだけの容量が確保できるかと思われます。追加で増強できそうならなお使いやすくなるでしょう。
ゲーミング用途でPCを自作する場合なら、重いゲーム以外は心配しなくていいでしょう。
既製品やBTO製品でも「8万円以下」のときより確実に性能のいいPCを構築できますが、ゲーミング用途の場合は絶対に「Intel HD Graphics」が使用されていないことを確認しておいてください。ゲーミング用途としては絶望的になります。既製品やBTOの場合は、ゲーミングPCと明記されているものでもグラフィックボードは「GTX 1060」が精々となります。
10万円以上の場合
さて、いよいよ10万円を超えた予算でのPCの構築案です。ゲーミング用途としてでも高性能なパーツを使用することができるでしょう。あいかわらず基本パーツはあらかじめ充実させておき、メモリを16GB確保し、残りの予算を主要パーツに重点的に使用しましょう。
できるならばCPUにもグラフィックボードにも、ミドルクラス以上のハイエンド製品を選びたいものです。CPUにはi7をなるべく世代の新しめのものを、グラフィックボードには「GTX 1070」以上の製品を使えると、世界中のほとんどのゲームは不満なくプレイできるでしょう。
VRゲームも充分にプレイできる環境が望めます。
既製品やBTOにおいて、同じ予算であればワンランクくらい性能は低くなってしまうのは、これまでと変わりません。GTX 1070を使用した既製品・BTOでは14万円くらいは必要になるかもしれません。
低予算帯の場合、自作以外では選択肢が制限されてきましたが、高予算帯では人件費などが必要ないために安く抑えることができ、その分がさらに別のパーツの予算として使用できるのが、PC自作の強みなのです。
いわば自作の知識で人件費を抑えているようなものです。
10万円という一般的な予算ライン
一般的な相場観からすると10万円以上は高めとされるかもしれませんが、ゲーミング用途でPCを構築し、不満なく、むしろ高パフォーマンスでプレイしたいのであれば、およそ10万円以上の予算が必要となるでしょう。根本的な理由は、主要パーツであるCPU・グラフィックボードを高性能なものにすると、それだけで10万円を超えるからです。
筆者は2017年末にPCを刷新し、その際にCPUには「Core i7-7700K(約4万円)」を、グラフィックボードには「GTX 1080(約7万円)」を投資し、結果的にこの2パーツのみで10万円以上の費用となりました。
筆者のこのスペックは決して「最高」といえる性能ではありません。ハイエンドの製品を選びはしましたが、「ハイエンド製品として中程度」という「上の中」レベルを狙いました。
なおCPUには「i9」、グラフィックボードには「RTX 20シリーズ」という超高性能パーツが鎮座ましましています。
20万円以上
既製品やBTOでゲーミングパソコンを探すと、10万円台の後半はもちろんのこと、20万円のラインを超えて20万円台中盤や後半の製品を目にします。
私見ですが、20万円という予算を超えてPCを作成する必要はありません。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。
PCを一般用途・ゲーミング用途で使うのみならず、高性能パーツを常に高負荷で使用し続けるような用途(ゲーム作成やマイニングなど)でもない限りは、20万円という予算は「もったいない」と断言できる範囲です。
2018年にNVIDIA製の新作グラフィックボード「NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ」が発表・販売されました。「RTX 2080 Ti」「RTX 2080」「RTX 2070」の3種類です。新型だけあり高性能なのですが、多くが10万円を超え、なかには18万円する製品もあります。
「上を見ればキリがない」というほど青天井ではありませんが、金額としてはかなり高額になってしまいます。
資金に充分な余裕がある人のみが試すべきでしょう。
結局どうやって予算を使うべき?
かなり広い幅で予算を見てきましたが、やはり10万円というラインが予算の大きな分かれ目として浮かび上がります。決してPC全体の性能としては誰もが満足できるものを構築できるとは限りませんが、使用者が「その予算を投資できるか」という点では、やはり10万円がわかりやすいラインです。
他の商品でもそうなのですが、PCにおいても「潤沢な予算」は知識を凌駕します。小難しいことを考えなくても最高性能を入手できるだけの財力があれば、悩む必要はありません。
逆にいえば、細かい知識とは予算を抑えるのに役立つことがあるものです。細かく予算帯をわけて見てきましたが、少ない予算であるほど難易度も高くなります。自作PCにおいては、少なくとも基本パーツに割く費用がない程の低予算では、まともな動作を保証できないのです。
このサイトではゲーミング用途でグラフィックボードの情報を掲載していますので、やはりゲームをプレイするためのPCとして、高性能なCPU・グラフィックボードを使用したPCをオススメしたいところです。
また余計な出費を抑えるという点では、やはり既製品やBTOよりも自作を推したいものです。
ここで申し上げておきたいのは、筆者が既製品やBTOを批判したいわけではないということです。
いわば観光地で名産品が売られているのを、現地の住人である筆者が「それは観光者向けで割高になっているよ」と言いたくなっているだけなのです。商売は商売です。稼げるところで稼ぐのは悪いことではありません。
特にここでは閲覧していただいている方々の利益になることなので、伝えられるのであれば伝えたいというだけなのです。
PCを構築する上では、「なぜほしいのか?」を再確認しておいてください。根本的な予算と性能のバランスとして、「まともに使えなくても安い『PC』という代物がほしい(予算1~3万円)」のか、「出費を抑えてPCとしてもほどほどのものを入手したい(予算5~8万円)」のか、「目的をしっかりと実現させるために的確な予算を確保する(予算10万円~)」のか、しっかりと自問しておくことは大事です。
なお筆者がオススメする構成では、CPUはi7の新しい世代を、グラフィックボードは「GTX 1080」を、メインストレージには100~200GB程度のSSDを、サブストレージには1TB以上のHDDを、メモリは16GBか32GBを、CPUクーラーは高性能なもの(空冷・水冷は好みで構わないでしょう)を選び、マザーボードや電源ユニットは高価でなくともいいので適切に扱える製品を選び、I/Oデバイスやストレージは追加で投資できるようであれば検討する、というようにすることでおよそ不満とは無縁なPC生活が送れるかと判断します。
その場合、予算は15万円前後が想定されます。
どういうふうに買う?
それでは予算は別として、「どのように買うか?」という経路も考えてみましょう。
IT製品は家電量販店で購入するのが初歩的かつ一般的でしょうか。しかしこれまで見てきたように、PCは各パーツが個別で販売されている製品でもあります。いくつものパーツを探すのに、量販店では難しいことがあります。
そこでインターネットを駆使して、オンラインで量販店のショップを通じて各パーツを購入することができます。またパソコンショップではBTOとしても、購入しやすいように配慮してくれています。
それではそれぞれの形式には、どんな特徴があるのでしょうか。
量販店などで既製品を買う
もっとも一般的な買い方は、量販店などで既にパーツの構成などが決定された「パソコン」としての製品を買うことです。メリットは初心者でも手軽に購入することができ、なにも考えなくても「パソコン」という代物を入手できることです。
デメリットは「パソコン」について知る必要がないために、およそ機械としてのPCを活用する段階まで程遠いという点です。また他の買い方に比べ自由度が格段に低いのもデメリットでしょう。
既製品を買うのは、PCについてあまり知らず、これからも知るつもりのない人にとってとても楽な手段だといえます。牛丼チェーン店で牛丼を食べる際、ただ「腹を満たす」という衝動を達成させるためだけに利用するようなものです。
この場合はメリットである「無思慮」でいられることが、そのままデメリットに繋がっています。
ノートを購入する際は、既製品を買うかBTOで選択するかになるでしょう。パーツを揃えてすべて自作することはできません。デスクトップではPCケースとして扱われる外装などが、ノートでは一般流通していないからです。
ノートを購入する場合は既製品を購入するのも良いかもしれません。
既製品を購入する際に気をつけたいのは、あからさまにオーバースペックなPCを購入してしまうことです。
PCは使用しているパーツによって価格が決まってくるので、高額で高性能なパーツばかり使用したPCはとても高価になります。ネットブラウジングをする程度なのに20万円もするようなPCは必要ありません。
量販店の店員の方が消費者の無知につけこんで高額な製品を押しつけることはそう多くないはずですが、結果的に高性能なPCを買ってしまっては、不必要なものにお金を支払うことになってしまいます。しかしこの購入形式では、その傾向をゼロにすることはできません。
料理で譬えるならば、コース料理としてあらかじめどういう料理が提供されるか決まっているようなものです。コースの料金が安価なものから高価なものまであり、おおよその素材と料理法は提示されていますが、調理師の技術は加味されていません。高いものは「おいしい」とされていますが、それが購入者の舌に合うかは保証されません。
用途に合わせてパーツを選べるようであれば、たとえ既製品を購入する場合でも、もっと費用を抑えることができることに留意しておきましょう。
BTOで購入する
BTOとは「Build-To-Order」の略で、注文によりパーツを選択することができ、選んだパーツを組み立ててもらった上で搬送してもらう販売形式です。
メリットは自作PCの知識に乏しくとも、パーツを好みに合わせて選択して、失敗することなく組み立てられることです。
デメリットは、既製品を買うより自由度はあるのですが、結局パーツの選択肢はショップによって限定されているため、完全に好みに合わせることができない点にあります。
BTOは、量販店で買う方法と自作する方法の中間のような形式です。量販店で既製品を買うより選択肢は広いのですが、自作にはどうしても劣ります。
また量販店のときと同様、在庫などの状況により選択肢が制限される可能性があり、店舗の運営状況に左右されることが考えられます。
決定的なメリットは、やはり「失敗の可能性がない」という点でしょう。購入時にパーツの選択を誤る以外は、完全に好みに応じた製品が届きます。自作においてかなり強いデメリットである「失敗」の可能性をゼロにできるのは大きいものです。
料理で譬えるならば、魚市場のなかにある食事処のように、料理の材料をみずから選んで料理してもらえる形態といえます。基本的にはその市場で売っている素材を利用することになるので、その他の地域の素材を利用しにくいのが難点です。
しかしその自由度は消費者にとってありがたいものでしょう。
自作する
3つめが「自作する」という方法です。具体的にはパーツを個別に購入・調達し、それを組み立てるという作業によってPCが完成します。パーツは量販店で販売されていることがありますが、店舗などによって品揃えに限界があるため、在庫の確認や購入が楽なオンラインショップの利用が簡単です。
メリットは自由度がとても高く、用途や予算に合わせて柔軟に選択ができるという点です。
それに対してデメリットは、パーツ選びや組み立てに失敗すると、まともにPCが動作しなかったり、調達したものの使えないパーツが残ってしまったり、手違いでパーツを壊したりしてしまうおそれがあることです。
筆者は自作を経験したことがあるため、基本的に自作でPCを組み立てることを推奨しています。それは情報をしっかりと摂取する術さえあれば、適切なパーツを選ぶことも失敗することなく組み立てることも、さほど難しくないと実感しているからです。
筆者は自身を特別有能な人間だと錯覚してはいませんので、同じレベルには誰でも辿り着けると考えています。そのため自力でPCを組み立てる気持ちがある人は、安価なPCで練習するなどして、場数を増やして経験していくと良いでしょう。
経験者はメリットについて多く知っていて、未経験者はデメリットについて多く考慮するのかもしれません。
なお当サイトはこの自作PCという観点を前提として運営しています。もちろん量販店で既製品を購入する際にも、BTOで選択する際にも、しっかりと確認をして希望のパーツが選べることを確認した上でならば、求めるパーツを使用することはできます。
料理にたとえるならば、飲食店で食べるような外食形式ではなく、自炊をするようなものです。自分で好みの素材を好きな場所から購入し、好きな味つけで料理することができます。
「自給自足」と根本的に異なるのは、素材をみずから育てはしないという点です。
自作PCにおいて「パーツ自体を自分で作る」ということはありません。パーツ(素材)は購入して、組み立てる(料理する)だけなので、パーツを製作する(素材を育成する)必要はありません。
自作の自由度
自作PCにおける自由度は、なにも極限まで高められているわけではありません。CPUにせよグラフィックボードにせよ、メーカーが製造した製品を購入しているだけであり、自給自足のような完全に自己流のパーツを用意することはできません。
それでもなお自作PCの自由度が揺るがないのは、システムとして「RPGでのアイテムの買い方」に似ています。
RPGにてアイテムは武器・防具・消費アイテムなどにわけられます。こうしたアイテムを購入する際、基本は「バラ売り」でしょう。それぞれのアイテムを個別に1つずつ買い分けることができるのが一般的です。
量販店で既製品を売るような販売形式は、いわば「武器防具セット」のようなものです。その販売店の店主が組み合わせた武器と防具のセットのなかから選ぶだけなのです。その店主がどのような基準で武器・防具を組み合わせているか消費者はわかりません。疑うならそもそもこの形式を使うべきではありません。
BTOのようにやや自由度の高い販売形式は、展示しているようなアイテムであれば武器・防具ある程度好きに組み合わせていい、というような形式です。先ほどのセットよりも自由度はありますが、その「展示物」以外のアイテムに求めているようなものがあるかもしれないと考えられるのが、やや難点です。
自作PCのような販売形式はどうでしょう? これは店舗に依頼するものではなく、(もしくは依頼するとしても)取り寄せなどを基本として、世界中の製品のなかから優れているものを選択肢として考慮し、予算などを踏まえた上で自分に見合った武器・防具・消費アイテムのセットをみずから組み合わせることのできる形式なのです。
このようにして考えてみると、セット販売が基礎的であるというより、自分でセットを組み合わせるほうが基礎的であると感じないでしょうか?
なお的確な知識と経験がないと、購入したアイテムセットの装備を外すことはできません(譬えを続けるなら外せなくなる「呪いの装備」が近いのですが、既製品に呪われているという意味合いは皆無なので、その点は了承しておいてください)。これは販売形式に関連してくるというより、装備者の知識や経験に依存します。
セットばかり利用する人は結果的に知識が乏しいままなので、和服の着付けを依頼するように別のセットを買う際に前の装備を剥がしてもらうしかないのです。
少なくとも筆者がこうした考え方をするのは、最初の街のアイテム屋で売っているアイテムセットを適当に買って、スライム相手に戦うつもりがなかったからです。筆者は自身が強いと微塵も思っていませんが、装備で強くすることができるということは知っています。
このような考え方を踏まえた上で筆者が製品をおすすめするのは、そのアイテムがあれば少なくとも筆者のように戦うことができる、という経験があるからなのです(筆者を踏み台としてさらに裏ダンジョンなどに行っていただくことも吝かではありません)。
まとめ
- 最重要項目は「目的」と「予算」。
- 「目的」から求める製品の「性能」が導き出される。
- 目的意識は予算を抑え、多めの予算は余裕を生む。
- 後々のリスクを考慮して、性能に余裕をもたせておこう。
- ゲーム用途とそれ以外とでグラフィックボードの要不要が変わる。
- デスクトップPCとノートPCは、携帯性と性能のバランスで考えよう。
- 全体を考えるときは、「基本パーツ」と「主要パーツ」にわけて考えよう。
- お金は強いが、知識でそれを補うことができる。
さいごに
非情に長々とここまで考えてきました。分割することも考えましたが、読むのが煩雑になるだろうと思いこのままにしておきました。
結局のところ、趣味としてでも仕事としてでも、やはり「PCについてどれほど理解する気概があるか」という点に落ち着きます。没入できる人は、筆者がああだこうだ言うまでもなく、知識を溜め込んで経験を積んでいくことでしょう。
その点を鑑みると、そうした気概のない方は、高望みすると足元を見られたり失敗したりする可能性が高くなるということでしょう。
最初のほうで述べたように、PCを使用するのに年齢や性別は関係ありませんし、どのように使用するのも購入者の勝手です。極論をいえば、製品を破壊して楽しむのすら勝手なのです。
少なくともこのエントリを執筆した筆者としては、ここに記した知識を有益に用いていただければ幸いだというのが、偽らざる正直な気持ちです。