今回のエントリも、失敗例シリーズのひとつです。
テーマは「新しくグラフィックボードを設置・交換したのに性能があまり上がらなかった」というものです。こうした失敗はどういう原因から起きやすいものなのでしょうか?
このエントリのポイント
- グラフィックボードはそもそも高い製品。
- 安い製品は相応の性能。
- 諦めることも視野に入れよう。
安いグラフィックボードはあまりオススメできない
新しく設置・交換したグラフィックボードで性能があまり上がらなかった場合は、接続不良や初期不良の可能性がゼロではありませんが、多くは「求める性能の製品ではなかった」という理由でしょう。
グラフィックボードの価格帯は1~10万円超と、かなり広く選択肢の幅がある製品群です。基本的にはやはり高価なものが高性能で、安価なものは低性能だという傾向にあります。
そうした傾向にあるため、やはり安価なグラフィックボード製品は、グラフィックボードを購入する「ゲームのパフォーマンス向上」という目的上、あまりオススメできるものではありません。それ以外の目的があるのでしたら購入する意義もあるかもしれませんが、性能向上を図る上ではごく軽微なものになる可能性があります。
安い製品は相応の性能
安価な製品・サービスにはよく「安かろう悪かろう」という文言がつきまといますが、少なくともグラフィックボードにおいてそれはあまり当てはまらないといえます。
それというのも、あくまでハイエンドで高性能・高価な製品から、ミドルクラスの中程度の性能・価格の製品、そしてローエンドの低性能・低価な製品まで、幅がある製品群のなかから選ぶだけのことだからです。安い製品には相応の理由があるわけです。
あくまで選択肢は幅広く設けられているのですから、そのなかから自分の求める製品を探すのは不可能ではないはずです。もちろん高価な製品があるので、二の足を踏むということは往々にしてあることでしょう。しかしそれでもコスト(費用)とパフォーマンス(性能)とを天秤にかけて満足できる点を探ることはできるはずです。
グラフィックボードを買う人は性能の向上を図る
わざわざグラフィックボードの購入を検討するという人は、やはりゲームのパフォーマンス向上を図る人が多いことでしょう。PCを構築し稼働させるだけであれば、基本的にはグラフィックボードは必要ありません。しかし性能の向上を図るならば、相応の対価を支払う必要があります。
もし「爆発的な性能向上」を図るのであれば、それにふさわしい性能を有した製品が必要となり、それだけコストとして高価なものが求められるのです。
グラフィックボードの相場を見る限り、たとえばPUBGを高解像度でまったくFPSの低下なしにプレイするのに、1万円程度の予算では実現のしようがありません。NVIDIA製のGeForceであれば、GTX 1060(2018年9月現在2~4万円)では難しく、GTX 1070(5~8万円)でもあまり芳しくないところで、GTX 1080(6~9万円)でなんとか実現の可能性が見えてくるところではないでしょうか。
グラフィックボードはそもそも「高い」製品
まず留意しておいていただきたいのが、グラフィックボードはそもそも高価な製品であるということです。この点を無視して、グラフィックボードを購入するのはかなり無理があります。
高性能を求めるなら相応の対価を
グラフィックボードはいわばPCにおいて視覚情報を扱うパーツなので、人間でいえば目や視覚のようなものと譬えることができます。
そうするとグラフィックボードを交換して性能向上を図るというのは、レーシックのような視力回復手術や網膜移植のような手段と似ているかもしれません。
ここでリスクは考えないものとしても、この場合はしっかりとした費用をかけることは当然のことではないでしょうか? 何度も網膜を交換して、安い網膜があまり使い物にならなければ捨てる、もしくはただ放置しておく、というのはあまり健全であるとはいえません。
実際には、PCの自作を趣味として長年続けている人々は、使用していないパーツをいくつも所有していることがあります。ときにはオークションなどで販売し、資金の一端にすることもあるでしょう。しかし現状で使用していないパーツが眠っていることは少なくありません。
その場合でも、PC自作の熟練者であれば、そのパーツを流用する方法を知っていますし、新しく考えつくこともあるものです。同じ趣味をもつ同好の士と物々交換に及ぶこともあるでしょうし、知り合いのPCを作成するときに流用することもできるでしょう。
しかし初心者の方は、そうした経験に乏しいので、手際よく流用することができないものです。
ですので安い製品を続けざまに購入・交換するよりも、やや値が張る製品でも一歩を踏み出すことが大事なときもあるのです。
安いグラフィックボードを買うくらいなら「買わない」のも選択のひとつ
それでも満足できる妥協点を見つけられずに、グラフィックボードの値段にやきもきする人は少なからずいるはずです。「もっと安くならないか」「値段に見合わない」と感じることも、理解できます。
場合によっては、いっそのことグラフィックボードの購入を諦めるというのも選択肢として考えられるのではないでしょうか?
グラフィックボードはあくまで嗜好品です。ゲームのパフォーマンス向上という目的のためならなおさらです。
そしてグラフィックボードは現状、急に安くなる可能性が低い製品です。その理由としては仮想通貨のマイニングなどが挙げられますが、いずれにせよ需要があるので価格の下落はあまり期待できません。
それでも現状として価格に納得できないのであれば、無理をして買う必要があまりないのではないでしょうか。この場合は「ゲームのパフォーマンス向上」と「グラフィックボードの値段に対する不満」を天秤にかけ、後者が重くなりそうであれば取りやめるのもひとつだと提案したいのです。
もちろんこれはなんら問題の解決には至りません。しかしグラフィックボードというものは、命にかかわるような可及的速やかに解決せねばならない問題ではありません。男性にとっては悩みの種である髪のようなものです。不満は不満として残るかもしれませんが、対策に満足できなければ現状維持しかないでしょう。
私は個人的に使用しているメインPCにNVIDIA製のGeForce GTX 1080を搭載していますが、これを購入したのはゲームのパフォーマンス向上という目的が価格の不満よりずっと強かったからです。
安いグラフィックボードのメリット
それでも安価なグラフィックボードに購入するメリットがあるとすれば、安いグラフィックボードの性能の低さを無視して利用できる場合でしょう。
PC自作の練習台
PCを自作するという趣味は、ややニッチな分野であり、かつお金のかかるものです。グラフィックボードに限らず高価なパーツは多いので、PC自作の経験に乏しい方にとっては、安価なパーツを寄せ集めて低スペックでもPCを組み立てる、という練習台にして経験を積むことが役に立つことはあるでしょう。
PCは用途によって使い分けることができ、また知識と経験さえあればパーツを入れ替えたりすることもできます。ですのでゲーミング用PCとネットブラウジング用PC、または個人用PCと家族で共有するPCなどと、目的によって区分することができます。
メインPCの寿命節約
PCのパーツには、おおよそ寿命というものがあります。これは通説として明確な基準がないパーツもあるのですが、長く使用しているPCでも「10年使っている」となれば長寿だと認識されるように、寿命の相場があります。
またPCのパーツで寿命が特に気にかけられるものとしては、ストレージのSSDがあります。同じストレージであるHDDと比べると、SSDは高速でありながら寿命が短めであるとされています。
ですのでメインPCにSSDを設置しておいて、普段はサブPCとしてHDDだけを使用したものを利用する、という使い分けもできるのです。
まとめ
- なぜグラフィックボードがほしいのか、目的をしっかりと認識しておこう。
- 安いグラフィックボードは相応の性能しか発揮しない。
- 妥協点を見つけられないときは、中止するのも大事。
さいごに
もし安いグラフィックボードを購入して「思ったより性能が上がらなかった」感じた場合、それは「勘違い」が原因かもしれません。家を買うときに値段だけを見て安いものを買うと、失敗しかねないのと同じ理由です。
安いグラフィックボードには相応の性能しかありません。それでも安いグラフィックボードでいいのか、もう少し上を見て高性能な製品を視野に入れるのか、それとも購入自体を諦めるのか、しっかりと考えておくとこの手の失敗は少なくなることでしょう。